「お肉ばっかり、栄養考えてる?」我が子の弁当を笑ったママ友。だが、別のママのフォローで笑いが引っ込んだ
娘の好物を詰めたお弁当
幼稚園の親子遠足は、朝から気持ちのいい晴れだった。お昼の時間になり、芝生の上にシートを広げて、親子で輪になってお弁当を開けた。
私が作った娘のお弁当には、たこさんウインナーをたくさん入れた。
娘がこれをいちばん喜ぶと知っているからだ。彩りに卵焼きやミニトマトも添えたけれど、いちばん目立つのはやっぱりウインナーだった。
娘は蓋を開けると、跳ねるように喜んだ。
「ウインナーだ!ママありがとう!」
その無邪気な声に、私も嬉しくなった。前の晩から下ごしらえをして、当日は六時に起きて切り込みを入れたウインナーだ。作った甲斐があったと思った。
ところが、向かいに座っていたママが、娘のお弁当をじろりと見て口を開いた。
前にも別の子の弁当に何かと口を出していた人だった。
「お肉ばっかり、栄養考えてる?」
「ウインナーこんなに入れて、可哀想じゃない」
周りのママたちが、つられて小さく笑った。私の頬が、かっと熱くなった。
引っ込んだ笑い声
娘が好きだから入れた。ただそれだけのことを、まるで親の手抜きみたいに言われて、言葉が出てこなかった。
「子どもが、好きなので……」
やっとそれだけ口にしたけれど、語尾が消え入りそうだった。
そのとき、隣のシートにいたママが顔を上げて、明るい声を出した。
「あ、たこさんウインナーだ。うちの子もこれ大好物なんだよね」
そして私の娘のお弁当をのぞき込み、にこりと笑った。
「おいしそう。子どもが喜ぶおかず、ちゃんと分かってるんだね」
力みも嫌味もない、さらりとした一言だった。それでも、効き目は十分だった。
お肉ばっかりと笑ったママの顔から、すっと笑いが引っ込んだ。
「そ、そうよね。うちもたまに入れるわよ」
慌てて取り繕うように言うと、彼女は気まずそうに目を逸らした。
「ほら、そろそろお茶飲みましょう」
無理やり話題を変えると、それきりお弁当の中身を蒸し返すことはなかった。
娘はそんな大人のやり取りなど知らずに、ウインナーを一つずつ箸でつまんで、頬をふくらませて味わっていた。卵焼きもミニトマトも、最後の一粒まできれいに食べていく。
「ママ、ぜんぶ食べた!」
空っぽになったお弁当箱を見せて、得意げに笑う。その顔を見て、私の胸のもやもやも消えていった。
フォローしてくれたママとは、その日を境に親しくなった。一緒にいて心地いい人と、自分で選んで付き合えばいい。そう思えたことが、何よりの収穫だった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














