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2026.06.16(Tue)

「残ってるなら、もらうね」ホームパーティーの料理を独占するママ友。だが、個別プレートに変えたら視線が泳いだ

「残ってるなら、もらうね」ホームパーティーの料理を独占するママ友。だが、個別プレートに変えたら視線が泳いだ

大皿が一瞬で消える

月一のホームパーティーは、会費制でみんなが楽しみにしていた。寿司やピザを囲み、持ち寄りを足して、おしゃべりに花を咲かせる。

その時間を変えたのが、途中から加わったママだった。彼女は自分の分を真っ先に平らげると、必ず大皿に向き直る。

「もう食べないの?」

誰かが返事をためらう間に、料理はどんどん彼女の皿へ吸い込まれていった。

「残ってるなら、もらうね」

取り分けようとお箸を伸ばしたときには、もう大皿は空。そんな場面が、毎回のように繰り返された。

「いやー、おいしくてつい食べちゃう」

悪気のない笑顔で言われると、こちらも強くは出られない。気づけば、大皿はいつも空っぽだった。

空気を壊したくなくて

不満がなかったわけではない。むしろ、その場の全員が同じことを思っていた。

「あ、どうぞどうぞ」

そう言いながら、内心はざわついている。けれど誰も切り出せない。波風を立てて、集まりそのものを気まずくしたくなかったのだ。

「やっぱりこの会、最高だわ」

満腹の彼女が言うたびに、私たちは曖昧に笑うしかなかった。お開きのあと、片づけを手伝ってくれたママが小声でこぼした。

「持ち寄ったお総菜、私ひと口も食べてないかも」

誰も悪者になりたくなくて、ずっと黙ってきた。けれど、このままでは集まり自体が嫌になってしまう。次にホストを務めるのは、私だった。今度こそ、と心に決めていたことがある。

手が宙で止まった

その日、私はあえて大皿を出さなかった。料理はすべて、人数分のプレートに最初から取り分けておいた。

「今日は全員ぶん、もう分けてあるから安心してね」

席に着くなり、例のママが大皿を探すように視線を巡らせた。

「えっと、おかわりは」

その手が、伸ばしかけたところで止まる。テーブルの上には、取りに行ける大皿が一枚もない。

「……あ、そっか」

言葉を濁し、視線が泳ぐ。やがて彼女は、自分のプレートだけをじっと見つめて口をつぐんだ。これまでのように、人の分をかき集める余地は、どこにもなかった。

「この方式、すごくいいね」

別のママが声を上げると、テーブルにうなずきが広がった。

「みんな同じだけあるから、安心して食べられるもん」

賛同の声に、取り分け制はそのまま次回からの決まりになった。

彼女はもう、何も言わなかった。自分の皿の寿司を、一つずつ静かに口へ運ぶだけ。あの大皿の独占劇は、その日を境にぱたりと消えた。穏やかなパーティーが、ようやく戻ってきた。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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