「薔薇は60本、王冠も用意したのよ」還暦祝いに真っ赤なドレスで現れた義母。思わぬ姿に驚いた瞬間
家族のグループチャットに届いた招待
義母が60歳の還暦を迎える少し前、家族のグループチャットにメッセージが届きました。
「記念写真を撮ることにしたから、日曜日の11時にここへ来てね」
添えられていたURLを開くと、町の写真館の案内ページが表示されました。
還暦の記念に、息子や孫たちと家族写真を撮りたいのだろう。私はそう思い、夫と予定を確認しました。
しばらくすると、義母からもう一通メッセージが届きます。
「薔薇は60本、王冠も用意したのよ」
冗談なのか本気なのか分からず、私は思わず夫の顔を見ました。
「母さん、こういうイベントが好きだからな」
夫は驚く様子もなく笑っています。
私が想像していたのは、赤いちゃんちゃんこを羽織った義母を囲み、家族で一枚だけ記念写真を撮るような、昔ながらの還暦祝いでした。
ところが義母からは、さらに念を押すように連絡が届きます。
「せっかくだから、みんなも少しきれいな格好で来てね」
当日、私は子どもたちに襟付きの服を着せ、夫と一緒に写真館へ向かいました。
スタジオの中央に立っていた義母
予約時間に写真館へ入ると、スタッフの方が笑顔でスタジオへ案内してくれました。
扉の先に立っていた義母を見て、私は思わず足を止めます。
義母が着ていたのは、鮮やかな赤色のロングドレスでした。肩には華やかな飾りが付き、頭には宝石風の装飾が輝く王冠が載っています。
さらに、両腕には真っ赤な薔薇の花束を抱えていました。
「どう?還暦なんだから、これくらい派手でもいいでしょう」
義母は少し照れたように笑っています。
普段の義母は、落ち着いた色の服を好む人です。目の前の華やかな姿との落差に、私はすぐに言葉が出てきませんでした。
「すごいね、おばあちゃん。お姫様みたい」
最初に声を上げたのは、子どもでした。
その一言を聞いた義母は、うれしそうに花束を抱え直します。
「今日はおばあちゃんが主役だからね」
義母はそう言って、子どもたちを自分の隣へ招きました。
撮影が始まると、義母一人の写真だけでなく、夫との親子写真や、孫たちに囲まれた写真も撮っていきます。
最初は戸惑っていた私も、楽しそうにポーズを取る義母を見ているうちに、次第に緊張がほどけていきました。
「次は皆さんで、お母さまの近くへ寄ってください」
カメラマンに促され、家族全員で義母を囲みます。
撮影直前、義母が小さな声で言いました。
「こうしてみんなが集まってくれることなんて、なかなかないでしょう。今日は来てくれてありがとう」
派手な衣装ばかりに気を取られていましたが、義母が本当に欲しかったのは、自分を祝う豪華な演出だけではなかったのかもしれません。
節目の日に、家族全員で集まった証しを残したかったのでしょう。
後日、完成した写真が届きました。
中央には、赤いドレス姿で満面の笑みを浮かべる義母。その周りでは、私たちもつられるように笑っています。
写真を見るたびに、最初に義母を見たときの衝撃を思い出します。
それでも今では、赤いちゃんちゃんこではなく、真っ赤なドレスを選んだことも、義母らしい還暦の迎え方だったのだと思えるようになりました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














