「うちは私立も考えてるから」マウントばかりのママ友。だが、おとなしいママの一言で全員が砂場を見たワケ
比べ合いが始まる公園
子どもが3歳のとき、公園で知り合ったママ友たち。出会った頃は、ただ子どもを遊ばせながら笑い合うだけの気楽な仲間だった。
けれど月日が経つほど、会話の中身が変わっていった。住まい、夫の職業、習い事。何気ない話のはずが、いつの間にか張り合いの場になっていたのだ。
その日、ベンチの中心にいたママが、得意げに切り出した。
「うちは私立も考えてるから」
「えっ、もうそんな話してるの?」
「当然でしょ。お宅はまだ英語も習ってないんでしょ?」
矛先が私に向いた。答えに詰まる私を見て、彼女は満足そうに笑った。
比べて、値踏みして、勝った気になる。その繰り返しに、私はもう疲れていた。
輪に入れない日々
グループのメッセージでも、私の返信だけが宙に浮いていた。
「次のランチ、いつにする?」
そんな話が進む中に、私の予定は誰も聞かない。あるときは、誘われてもいない集まりの写真が、私のところにだけ届いた。
それでも騒ぎ立てなかったのは、子ども同士が仲良しだったからだ。
私さえ我慢すれば角は立たない、とずっと自分に言い聞かせていた。
その日も、ベンチでマウントの応酬が止まらなかった。
「先生に、筋がいいって褒められたの」
「いいなあ、うちの子なんてまだまだで」
「やっぱり始めるのが早かったからかな。お宅も今からでも遅くないよ」
誰かが誰かを持ち上げ、別の誰かをそっと下に見る。そんな会話のはざまで、私は曖昧にうなずくしかなかった。
早くこの時間が終わってほしい。そればかり考えていた。
泥だらけの答え
そのとき、いつも輪の隅で静かにしているママが、ふっと顔を上げた。
「ねえ、うちの子たち、楽しそうじゃない?」
その一言で、全員が砂場へ目をやった。
習い事の話なんて忘れて、泥まみれで転げ回り、声を上げて笑う子どもたち。どの子がいちばんかなんて、もうどうでもよくなる光景だった。
マウントの中心にいたママの口が、ぴたりと止まった。何か言いかけて飲み込み、気まずそうに髪を触る。やがて、小さく漏らした。
「……そうね」
張り詰めていた空気が、ゆるんでいくのが分かった。周りのママたちも、ばつが悪そうに視線を落とす。比べ合う声はやみ、砂場の笑い声だけが残った。
その日から、勝ち負けを競う話題はめっきり減った。私は無理をやめて、気の合う数人とだけ付き合うことにした。あのママと顔を合わせても、彼女はもう順位の話をしない。砂場を見て、ぎこちなく笑い返してくるだけだ。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














