「数字に弱いんだから黙ってろ」見下す夫。だが、小3の娘の言葉に思わずうつむいた
「黙ってろ」が口ぐせの夫
結婚して数年、夫は口を開けば私を見下すようになっていた。家のことは全部私の担当なのに、感謝の言葉をもらった記憶はほとんどない。
その日の夕食後もそうだった。私が家計簿とにらめっこしながら、今月の支払いを整理していると、リビングのソファから声が飛んできた。
「数字に弱いんだから黙ってろ」
家計の管理は、ずっと私の役目だった。電気代もガス代も、子どもの学校で必要なお金も、すべて私が把握して払っている。それでも夫は、自分のほうが上だと信じて疑わない。
「家のことは俺が決める。お前は言われたことだけやってればいいんだ」
言い返したところで、話が長くなるだけ。私はため息をのみ込んで、ノートに視線を戻した。こういう夜は、もう数えきれないほど繰り返してきた。
電気やガスの契約先も、保険の満期も、子どもの給食費の引き落とし日も、私はすべて頭に入れている。夫はそのどれ一つ知らないのに、口だけは大きい。
娘の質問に固まった夫
すると、同じテーブルで宿題をしていた小学3年生の娘が、ふと手を止めて言った。
「パパは学校のお金も分からないよね」
悪気のない、ただの疑問だった。けれど夫は、はっと顔を上げた。
「なんで急にそんなこと言うんだ」
「だって、集金袋にお金を入れてくれるのは、いつもママだもん」
夫は言葉に詰まった。娘はさらに、小さく首をかしげながら続ける。
「パパ、ママにありがとうって言ったことある?」
返事はなかった。夫は何か言おうとして口をつぐみ、気まずそうに視線を落とす。
いつもは強気なその人が、小さな娘の前で身動きひとつ取れずにいた。テーブルには、私がつけていた家計簿がそのまま開かれている。娘の視線は、その数字と夫の顔を静かに行き来していた。
私は驚いていた。毎日そばで見ている子どもは、この家を誰が支えているのかを、ちゃんと分かっていたのだ。私が何百回訴えても届かなかった思いが、娘のまっすぐな一言で、夫の胸にすっと刺さったらしい。
大人が理屈で言えば言い訳が返ってくる。けれど、子どもの素直な疑問には、夫もごまかしようがなかったのだろう。強気な仮面が、その夜だけはきれいにはがれ落ちていた。
後日、夫はぼそりと「悪かった」と謝ってきた。長い付き合いのなかで、こんなふうに頭を下げてきたのは初めてのことだった。それ以来、私を見下すような言い方は、驚くほど減った。あの夜、娘に投げかけられた問いを、夫はきっと今も忘れられずにいる。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














