「店長を呼べ、いつまで待たせるんだ」自分の注文を先に出せと迫る客。だが、店長が静かに返した一言
混雑した昼のカウンターで
ファストフード店でアルバイトをしていたころの話です。
日曜日の昼は、店内の席がほとんど埋まるほど混雑していました。その日もレジには列ができ、厨房には次々と注文が入っていました。
私はレジで会計を担当していましたが、注文の数が一気に増えたため、料理の提供にはいつもより時間がかかっていました。
そんな中、カウンターの前に一人の男性客がやってきました。
「まだなの?もうかなり待ってるんだけど」
男性はレシートを手に、いら立った様子で尋ねてきました。
注文時間を確認すると、20分近く経っています。
「大変お待たせして申し訳ございません。ただいま順番にご用意しております」
そう伝えると、男性はさらに声を強めました。
「じゃあ俺のを先に作ってよ。もう十分待っただろ」
「申し訳ございません。ほかのお客様もお待ちですので、順番を変更することはできません」
「そんなの知らないよ。店長を呼んで」
後ろには、料理を待っているお客様が何人もいました。私はどう答えるべきか迷い、店長を呼びました。
順番だけは変えられない
厨房から出てきた店長は、まず男性に頭を下げました。
「長くお待たせして申し訳ございません」
男性はすぐに言いました。
「20分近く待ってるんだよ。先に俺のを出してくれればいいだろ」
店長は注文状況を確認してから答えました。
「お待たせしていることについては、こちらの責任です。申し訳ございません。ただ、お料理はご注文いただいた順番にお出ししていますので、お客様だけを先にすることはできません」
男性は少し黙りました。
店長は続けます。
「このままお待ちいただくのが難しいようでしたら、返金も承ります」
「……いや、返金まではいい」
先ほどまで強かった男性の口調が、少しだけ落ち着きました。
「かしこまりました。できるだけ早くご用意いたしますので、もう少々お待ちください」
男性はそれ以上何も言わず、カウンターの脇へ戻りました。
数分後、男性の番号が呼ばれました。店長が商品を渡すと、男性は小さくうなずいて席へ向かいました。
騒ぎが収まったあと、私は店長に「すみませんでした」と声をかけました。
すると店長は首を横に振りました。
「謝ることじゃないよ。無理なお願いをされたときは、一人で何とかしようとしなくていい。すぐ呼んで」
混雑して待ち時間が長くなれば、不満を感じるお客様がいるのも当然です。
それでも、一人だけ順番を変えてしまえば、その後ろで待っている人たちにも影響します。
申し訳ないと思うことと、できないことをきちんと伝えることは別なのだと、その日の店長の対応から学びました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














