「玄関の戸を閉めただけよ、大げさね」泣き出した子供。だが、夫が義母に伝えてくれた本音とは
初めて子どもを連れて泊まった義実家
子どもがまだ小さかったころ、家族3人で夫の実家へ泊まりに行ったときのことです。
子どもは眠りが浅く、せっかく寝ても大きな物音がするとすぐに目を覚ましてしまいます。そのことは夫もよく分かっていたため、夜になる前に義母へお願いしてくれました。
「この子、寝たあと物音で起きやすいから、夜だけ少し静かにしてもらえる?」
「分かった、分かった」
義母も笑って答えてくれました。私も、これなら大丈夫だろうと思っていました。
その日の寝床は、居間の隣にある和室でした。夕食を終え、しばらく抱っこしていると、子どもはようやく眠ってくれました。
一度お願いしたはずでしたが
私がそっと布団へ寝かせて居間へ戻ると、義母は台所で夕食の片づけを始めました。
ところが、食器を重ねる音が思った以上に響きます。和室から子どもが身じろぎする気配がして、私は思わず振り返りました。
すると夫が義母に声をかけました。
「母さん、ごめん。もうちょっとだけ静かに頼むわ。今やっと寝たところやから」
「あ、ごめんごめん」
義母はそう言って、それからは食器を一枚ずつ静かに片づけてくれました。
私は少し申し訳ない気持ちにもなりました。普段どおり過ごしている義実家で、こちらの都合に合わせてもらっているからです。
それでも、久しぶりにまとまって眠った子どもの寝顔を見て、できればこのまま起きずにいてほしいと思っていました。
玄関の音で、とうとう目を覚ました
しばらくして、義母が玄関の外へ出ました。
そして戻ってきた直後です。
ガタン、と玄関の戸が閉まる音がしました。
次の瞬間、和室から子どもの泣き声が聞こえてきました。
私は急いで抱き上げ、背中をさすりました。せっかく眠っていた子どもはすっかり目を覚まし、なかなか泣き止みません。
そんな私たちを見て、義母が少し困ったように言いました。
「玄関の戸を閉めただけよ。そんなに大げさにしなくても」
責めるつもりはないのだろうと思いました。それでも、二度お願いしたあとの言葉だっただけに、私は何と返せばいいのか分かりませんでした。
すると、隣にいた夫が口を開きました。
「母さん、これで3度目やで。俺らも神経質になりたいわけじゃないけど、起きるたびに寝かせるの大変なんや」
義母は泣いている子どもを見て、少し黙りました。
「……そんなに起きやすかったんやね。ごめん」
夫もそれ以上は何も言いませんでした。
それから義母は、玄関の戸も食器棚も、いつもよりゆっくり閉めてくれるようになりました。
子育てをしている側には当たり前でも、一緒に暮らしていなければ分からないこともあります。私が言いにくくなっていたところで、夫が自分の親にはっきり伝えてくれたことが、あの夜はとてもありがたく感じました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














