「お一人さま1枚までです」クーポンの利用条件に納得出来ない常連客。だが、店長の一言で態度が一変
クーポンの日は、開店直後から混み合う
5年ほど前、ドーナツ店で朝のシフトに入っていたときのことです。
新聞の折り込みに割引クーポンが入った日は、開店直後からいつもより多くのお客さんが来店しました。
そのクーポンには、「お一人さま1枚まで」と利用条件が書かれていました。
開店して間もなく、常連の女性がトレーいっぱいに商品をのせてレジへやってきました。
そして財布から3枚のクーポンを取り出し、カウンターに並べます。
「これ、3枚とも使ってください」
「申し訳ありません。こちらはお一人さま1枚までとなっております」
私がクーポンの利用条件を示すと、女性は少し不満そうな顔をしました。
「じゃあ、1枚だけ使えばいいのね」
女性はその場では1枚だけクーポンを使い、商品を購入して店を出ていきました。
数分後、もう一度列の最後尾にいた
その後もお客さんは途切れず、レジの前には列ができていました。
会計を続けていると、列の後ろに見覚えのある女性がいることに気づきました。
先ほどの常連客です。
女性は再び商品をトレーにのせ、順番を待っていました。
そして自分の番になると、先ほどとは別のクーポンを1枚差し出します。
「今度は使えるわよね」
「申し訳ありません。お一人さま1枚までですので、2枚目はご利用いただけません」
すると女性は首をかしげました。
「でも、並び直したのよ。会計は別でしょう?」
「会計の回数ではなく、お客様お一人につき1枚までとなっています」
そう説明しましたが、女性はなかなか納得してくれません。
「ちゃんともう一度並んだのに、それでもダメなの?」
やり取りが続くうちに、後ろの列も少しずつ長くなっていました。
店長が示した利用条件
そこへ、様子を見ていた店長がレジまで来ました。
店長は女性からクーポンを受け取ると、利用条件の部分を指します。
「こちらに『お一人さま1枚まで』と書かれています。並び直して会計を分けても、同じお客様が2枚目を使うことはできません」
女性はクーポンの文字をじっと見ました。
「会計ごとに1枚って意味じゃないの?」
「はい。『1会計につき1枚』ではなく、『お一人さま1枚まで』です」
店長は落ち着いた口調で説明しました。
女性は何か言いかけましたが、そのとき後ろを振り返りました。
レジの前には、会計を待つお客さんが何人も並んでいます。
それを見た女性は少し黙ったあと、差し出していたクーポンを引っ込めました。
「……分かりました。じゃあ今日はやめておきます」
女性は商品をこちらに預け、そのまま店を出ていきました。
店長は私に向かって、
「最初に説明した内容で合っているから、大丈夫だよ」
と言ってから厨房へ戻っていきました。
次に同じクーポンが配られた日、その女性はまた来店しました。
そのときレジに出したクーポンは、最初から1枚だけでした。
それ以来、その女性との会計でクーポンの利用条件をめぐってやり取りすることはありませんでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














