「すみません、部屋を間違えました」部屋を間違えた住人。だが、その日まで鍵をかけていなかった理由とは
実家では、家にいるときは鍵をかけなかった
就職をきっかけに、私は初めて一人暮らしを始めました。
それまで暮らしていた実家では、家族の誰かが家にいる時間は玄関の鍵をかけないことが珍しくありませんでした。
近所に親戚が住んでいて、昼間にちょっと立ち寄ることもあります。
宅配便や回覧板が来ても、家の中からすぐ応対できる。
私にとっては、それがごく普通の暮らし方でした。
そのため、一人暮らしを始めてからも、外出するときには鍵をかけるものの、帰宅して部屋に入ったあとは施錠を忘れることがよくありました。
「自分が中にいるんだから、大丈夫だろう」
当時は、深く考えていなかったのです。
突然、玄関のドアが開いた
ある日の夜、仕事から帰った私は、いつものように玄関の鍵をかけないまま部屋でくつろいでいました。
しばらくすると、玄関のドアノブが動く音がしました。
そのままドアが開き、少し酔っ払った感じの知らない男性が顔をのぞかせたのです。
男性もすぐに私の姿に気づき、驚いた様子で立ち止まりました。
「あれ?すみません、部屋を間違えました」
そう言うと、すぐにドアを閉めました。
どうやら同じ階の住人だったようで、少しすると廊下の先で別の部屋のドアが開く音がしました。
ほんの数秒の出来事です。男性が何かをしたわけでもなく、本当に部屋を間違えただけだったのでしょう。
それでも私は、しばらく玄関を見たまま動けませんでした。
「誰でも開けられたんだ」と気づいた
落ち着いてから、私は玄関まで行き、初めて鍵をかけました。
そのとき怖くなったのは、男性のことよりも、鍵をかけていなければ誰でも同じようにドアを開けられたという事実でした。
今回はたまたま部屋を間違えた住人だっただけです。
もし別の人だったら、と考えると、それまでの自分の感覚が急に不用心に思えてきました。
実家では、家族が何人かいて、近所にも顔見知りが多くいました。
しかし、一人暮らしの部屋では事情がまったく違います。
環境が変わったのに、暮らし方だけを以前のまま引きずっていたのだと思います。
それ以来、帰宅したら荷物を置く前に玄関の鍵をかけるようになりました。
今では無意識に確認するほど習慣になっています。
大きな被害があったわけではありません。それでも、あの日ドアが開いたことで、自分の「普通」が場所によっては通用しないことを初めて実感しました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














