「それはやりすぎじゃない?」他のテーブルの料理まで写真を撮ろうとする参列者。だが、スタッフの対応に思わず舌を巻いた
和やかなはずの披露宴で
親族として出席した披露宴は、はじめのうちはとても和やかな雰囲気に包まれていました。
私は久しぶりに親戚たちと顔を合わせ、料理に舌鼓を打っていたのです。
新郎新婦への祝福ムードの中、料理が次々と運ばれてきます。どの皿も美しく盛り付けられ、会場のあちこちで感嘆の声が上がっていました。
ところが、しばらくすると、一人の参列者の振る舞いが目につくようになりました。
その方は席にじっとしておらず、カメラを片手に会場を歩き回っているのです。
せっかくの祝いの席に水を差すつもりなど、その人にもなかったのでしょう。ただ、場を楽しみたい気持ちが、少しばかり前に出すぎていたのかもしれません。
他人のテーブルにまで
はじめは自分たちのテーブルの料理を撮っているだけかと思いました。ところが、その方はどんどん範囲を広げ、他の親族の席にまで踏み込んでいったのです。
(それはやりすぎじゃない?)
初対面の相手にも臆せず近づいては、皿にレンズを向けていきます。
撮られた側は戸惑い顔で、箸を止めるほかありませんでした。
そのうえ、居合わせた人に立て続けに込み入った質問までして、周囲はすっかり気を遣わされています。せっかくの料理の味も、どこか薄れてしまうようでした。
とはいえ、お祝いの席で声を荒らげるわけにもいきません。
誰もが困った笑みを浮かべながら、その場をやり過ごしていたのです。
スタッフが上手にさばいた
そこへ、様子を見ていた式場スタッフが、さりげなく近づいてきました。
むっとした素振りは少しも見せず、むしろにこやかに声をかけます。
「よろしければ、新郎新婦様との記念のお写真をお撮りしましょうか」
スタッフはその方の関心を、自然に別のほうへと移していきました。歩き回っていた足を、うまく一か所へ落ち着かせたのです。
気づけばその参列者は、案内されるまま自分の席に戻り、機嫌よく写真に収まっていました。角を立てず場をおさめる手際に、私は思わず舌を巻きました。
張りつめかけた空気は、いつのまにか元のなごやかさを取り戻しています。周りの親族も、ほっと胸をなでおろしたようでした。
強く諌めるのではなく、相手の気持ちを立てながら流れを変える。見事なもてなしの技を、私はすぐ近くで見せてもらった気がしました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














