「今回も広い部屋にできないの?」部屋の変更を求め続けた常連客。だが、スタッフの正論で態度が一変
チェックインの列が、なかなか進まなかった
家族旅行で温泉旅館に泊まったときのことです。夕方のフロントには、チェックインを待つ人が6組ほど並んでいました。
私たちも長旅のあとだったので、早く部屋に入ってひと息つきたいと思いながら順番を待っていました。
ところが、列の先頭にいる一人の男性のところで、受付がなかなか終わりません。
「前は替えてくれただろ。今回も広い部屋にできないの?」
男性の声が聞こえてきました。どうやら何度もこの旅館を利用している方のようです。
スタッフは予約状況を確認しながら、「申し訳ございません。本日はほかのお部屋もすべてご予約をいただいております」と説明していました。
それでも男性は納得できない様子で、カウンターの前から動こうとしませんでした。
前回、部屋を替えてもらった理由
やり取りを聞いているうちに、男性が言う「前回」の事情も分かってきました。
以前この旅館に泊まった際、男性が予約していた部屋に設備上の不具合が見つかり、そのまま案内することができなかったそうです。
そのときは同じタイプの部屋に空きがなかったため、旅館側の判断で、たまたま空いていた広い部屋へ変更されたとのことでした。
「あのときは広い部屋にしてくれたじゃないか」
男性は、その対応を今回もしてもらえると思っていたようです。
スタッフは落ち着いた口調で答えました。
「前回は、ご予約いただいたお部屋に不具合があり、こちらの都合で別のお部屋をご用意いたしました」
さらに、「今回はご予約のお部屋に問題はなく、ほかのお部屋にもすべてお客様がいらっしゃいます」と説明します。
前回と今回では、そもそもの状況が違っていたのです。
何度聞かれても、説明は変わらなかった
それでも男性は、「キャンセルは出ていないのか」「少しくらい何とかならないのか」と何度か尋ねていました。
後ろで待っていた私は、少しずつ長くなる列を見ながら、正直なところ早く受付が進んでほしいと思っていました。
しかしスタッフは声を荒らげることもなく、何度聞かれても同じ説明を繰り返していました。
「前回は当館側の事情による変更でございました。恐れ入りますが、本日はご予約いただいたお部屋でお願いいたします」
その言葉を聞いて、男性もようやく諦めたようでした。
「わかったよ」
そう言って鍵を受け取ると、男性はフロントを離れていきました。
止まっていた列も、そこからは順調に進み始めました。
以前してもらった対応を覚えていれば、今回も同じようにしてもらえると思ってしまうことはあるのかもしれません。
ただ、前回は旅館側の事情による特別な対応で、今回は状況がまったく違います。
相手の言葉を遮ることなく、それでもできないことは曖昧にせず説明していたスタッフの姿が、印象に残った出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














