「通知表はどうだった?」お年玉をもらった直後に成績を比べられた子供時代。親戚の集まりが苦手になった理由
お年玉をもらった直後に始まる質問
私が小学生だった頃、毎年1月2日になると、家族で埼玉県内にある母方の祖母の家を訪れていました。
自宅から車で四十分ほどの距離で、昼前に到着すると、すでに叔父や叔母、いとこたちが座敷に集まっていました。祖母が用意した煮物やお寿司を囲み、大人たちは近況を話し、子どもたちは隣の部屋で遊ぶのがいつもの流れでした。
私も親戚に会うこと自体は楽しみでした。けれど、お年玉をもらったあとの時間だけは、毎年少し緊張していたのです。
母の兄にあたる叔父は、子どもたちにぽち袋を渡し終えると、決まって学校の話を始めました。
「それで、二学期の通知表はどうだった?」
最初に聞かれるのは、たいてい年上のいとこでした。いとこが成績を答えると、叔父は感心したようにうなずきます。
「算数がよくできたのか。さすがだな」
そのまま順番に、ほかの子どもにも質問が向けられました。得意な教科やテストの点数、将来行きたい学校まで聞かれることもありました。
私はぽち袋を膝の上に置きながら、自分の番が来ないでほしいと思っていました。
悪気のない比較が苦しかった
小学五年生だったその年、私が通知表について答えると、叔父は隣に座っていた兄のほうを見ました。
「お兄ちゃんは同じ頃、算数が得意だったよな」
責めるような口調ではありませんでした。しかし、兄と比べられたことが恥ずかしく、私は「うん」と小さく返すことしかできませんでした。
母も困ったように笑いながら、「この子は国語のほうが好きだから」と説明してくれました。それでも叔父は、「算数もできたほうがいいぞ」と続けます。
周りの大人に深い悪気はなかったのだと思います。親戚の子どもがどのように成長しているのか、知りたかっただけなのでしょう。
ただ、子どもだった私には、食卓の前で成績を答え、きょうだいやいとこと比べられる時間が、試験を受けているように感じられました。
帰りの車内で、母は「叔父さんも心配して聞いているだけだよ」と言いました。私もそれは分かっていましたが、翌年のお正月が近づくと、また通知表のことを聞かれるのではないかと身構えるようになりました。
中学生になる頃には、聞かれる内容も定期テストの順位や志望校へと変わっていきました。私は詳しいことを話さず、「普通だよ」と短く答えるようになりました。
大人になった今でも、親戚の子どもに学校のことを聞くときは、成績や進学先を一方的に尋ねないようにしています。何気ない質問でも、比べられる側の子どもにとっては、長く心に残ることがあると知っているからです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














