「350万円かかるけど、一生に一度だから」結婚式の費用が不安だった妻。だが、ご祝儀の中身に思わず笑みがこぼれた
ローテーブルに封筒を並べていった
結婚式は、夫と相談して親族だけで行いました。年配の方も多かったため出し物は入れず、料理を楽しみながら、ゆっくり話せる時間を長く取ることにしました。
式場は、名前の知られたところを選びました。最初の見積もりを見たとき、夫が言いました。
「350万円かかるけど、一生に一度だから思い切ろう」
「うん」
そう答えたものの、350万円という金額はやはり大きく、準備を進めている間も、ときどき頭に浮かびました。
それでも当日は、そんな心配を忘れるくらい穏やかな時間になりました。
料理が運ばれるたびに親戚同士の会話が弾み、私たちが挨拶に回ると、笑顔で声をかけてもらいました。
翌日の午前、夫と私は居間のローテーブルに、いただいたご祝儀の封筒を並べました。
夫が一つずつ中身を確認し、私は名前と金額を紙に書いていきます。
「はい、次」
夫の声に合わせてペンを動かしていると、昨日席に座っていた親戚の顔が次々と思い浮かびました。
金額を見ていたはずなのに、思い出したのは顔だった
最後まで確認したところで、夫が紙を見直しました。
「全部合わせたら300万円あった」
私は思わず、書いた数字をもう一度見ました。
結納のときにいただいていた分も式の費用に充てていたため、私たちの貯金から出す金額は、最初に想像していたよりずっと少なく済みました。
「ありがたいね」
私が言うと、夫もうなずきました。
封筒には、それぞれ親戚の名前が書かれています。その名前を見るたびに、昨日「おめでとう」と声をかけてくれた人や、久しぶりに会って笑っていた人の顔が浮かびました。
その日の夜、母から電話がありました。式の話をしていると、母が言いました。
「みんな、来られるのを楽しみにしてたよ」
その言葉を聞いて、準備中の私はずっと費用のことばかり気にしていたのだと気づきました。
300万円という数字には驚きました。でも、あとになって残ったのは金額そのものより、一つ一つの封筒の向こうに、私たちのために足を運んでくれた人がいたことでした。
あの日、金額を書き留めた紙は、今も引き出しの中にしまってあります。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














