「この子の干支ってネズミだったわよね?」祖母の何気ない一言で息子が大泣き。説明しても止まらなかった涙を、妻が止めた一言
何気ない干支の話で、突然泣き出した息子
25年ほど前、息子が5歳だったころの休日のことです。
昼ごはんを終えた私と妻、そして私の母は、居間でお茶を飲みながらくつろいでいました。
息子は少し離れたじゅうたんの上で、お気に入りのミニカーを走らせています。
そんなとき、母が息子のほうを見ながら何気なく尋ねました。
「そういえば、この子の干支ってネズミだったわよね?」
「うん、ネズミだよ」
私がそう答えた直後です。
「うわああん!」
突然、大きな泣き声が響きました。
驚いて振り向くと、息子がミニカーを握りしめたまま、顔を真っ赤にして泣いています。
「どうした?どこか痛いのか?」
慌てて声をかけると、息子は涙をぽろぽろこぼしながら訴えました。
「ぼく、ネズミじゃないもん」
その言葉を聞いて、ようやく理由が分かりました。
大人の会話を聞いていた息子は、自分がネズミだと言われたと思い込んでしまったのです。
私たち3人は慌てて息子のそばへ行き、囲むように座りました。
大人3人の説明より、妻の一言が効いた理由
まず、私が息子に説明しました。
「違う違う。ネズミ年っていうのは、生まれた年についた名前なんだよ。ネズミになるわけじゃないんだ」
ところが、息子は納得しません。
「だって、ネズミって言ったもん…」
そう言うと、両手で自分のおしりを押さえました。
「ぼく、しっぽないもん」
その必死な姿に、思わず笑いそうになりましたが、本人は真剣です。
母も「ほら、ウシ年とかトラ年とかもあるでしょう?」と、十二支の動物を指折り数えながら説明しました。
しかし、息子は動物の名前が出てくるたびに、ますます不安そうな表情になります。
どう説明すれば分かってもらえるのか、私も母も困り果ててしまいました。
そのとき、それまで息子の背中をさすっていた妻が口を開きました。
「ねえ、保育園で同じ組のお友だちにも、ネズミ年の子がいるんだよ」
すると、息子の泣き声がぴたりと止まりました。
「……ほんと?」
「ほんとよ。あなただけじゃないんだから」
息子は涙をぬぐいながら、しばらく考え込んでいました。どうやら、仲良しのお友だちの顔を思い浮かべているようです。
そして、ようやく安心したのか、小さくうなずきました。
「じゃあ、あした保育園でみんなに教えてあげる」
そう言うと、何事もなかったかのようにミニカー遊びを再開したのです。
私と妻と母は顔を見合わせ、思わず笑ってしまいました。
あれほど一生懸命に説明しても伝わらなかったのに、お友だちも同じだと分かっただけで、すっかり安心してしまうとは。
子どもに何かを伝えるのは、大人が思うほど簡単ではないのだと感じた出来事でした。
あれから25年ほどがたち、息子も今では父親になりました。
先日、孫が息子に「パパは、なにどし?」と尋ねたときのことです。
息子は少し得意そうな顔で、こう答えていました。
「パパはネズミ年。でも、しっぽはないぞ」
その言葉を聞いた瞬間、私はあの日の泣き顔を思い出し、懐かしくて笑ってしまいました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














