「空いてたんだから、どこに張ろうとうちの自由でしょう」湖の眺めをふさいだ家族。だが、担当者に注意された結果
湖の見えるテントの前に、家族連れがやってきた
初めてのキャンプに選んだのは、夫が以前からよく知っているキャンプ場でした。
湖を眺めながら過ごせる場所だと聞き、私は出発前から楽しみにしていました。
景色のいい場所は早い者勝ちだというので、私たちはオープンから30分後に到着。さっそくテントを組み立てました。
湖に近い場所にはすでに何組もいましたが、テントの前からは山と湖がよく見えます。
「ここでも、じゅうぶんきれいだね」
「だろ。夕方になったら、もっときれいになるよ」
そんな会話をしながら、のんびり過ごしていました。
ところが午後、家族連れが私たちのテントのすぐ前に荷物を下ろしたのです。
近くを通りかかった作業着の担当者は、湖の方角を示しながら声をかけました。
「張る位置には気をつけてくださいね」
「大丈夫です、慣れてるんで」
母親は笑って手を振りましたが、担当者が離れると、父親と大きなタープを広げ始めました。
布が立ち上がるにつれ、さっきまで見えていた湖が隠れ、山まで見えなくなってしまいました。家族から私たちへの声かけはありません。
夫は家族のところへ行き、タープを少しずらしてもらえないかとお願いしました。
「でも、ここは空いてましたよね」
「そうなんですが、うしろから景色がまったく見えなくなってしまって…」
「空いてたんだから、どこに張ろうとうちの自由でしょう」
母親はそれ以上話すつもりがないのか、タープの下へ戻っていきました。
私たちは言い争うこともできず、目の前に広がる布を見つめるしかありませんでした。
見回りの担当者が、タープの前で足を止めた
夕方になると、昼間の担当者が再び見回りに来ました。
担当者はタープのそばで立ち止まり、出てきた父親と母親に声をかけました。
「昼間にもお声がけしましたが、この向きだとうしろの方の景色がふさがってしまうんです。向きを変えていただけますか」
母親はすぐには返事をしませんでした。すると父親が口を開きます。
「でも、この場所はうちが使っているので…」
「場所を移っていただく必要はありません。ただ、ここでは周りの方の眺めにも配慮していただくことになっています」
母親は言葉に詰まった様子でした。
通路の向こうを歩いていた人たちも、足を緩めてタープを見ています。
父親は小さく頭をかき、ロープに手をかけました。母親もうつむいたまま、ペグを抜き始めました。
二人がタープの向きを変えると、少しずつ山と湖が見えてきました。
湖面にはちょうど夕日が映り、オレンジ色の光が揺れています。
「これを見せたくて、連れてきたんだ」
夫はそう言って、私の肩を軽くたたいて笑いました。
初めてのキャンプで思いがけないことはありましたが、最後は夫と並んで、静かに夕日を眺めることができました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














