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2026.10.22(Thu)

「あいつは最後まで、何も言わなかったな」羽振りのよかった叔父の死後、父に届いた借金の請求書。あの笑顔を思い出すと怖くなった

「あいつは最後まで、何も言わなかったな」羽振りのよかった叔父の死後、父に届いた借金の請求書。あの笑顔を思い出すと怖くなった

何年も会っていなかった叔父の知らせ

父の弟にあたる叔父は、昔から羽振りのいい人でした。

親戚が集まると、いつも上座に座って大きな声で笑い、まるで大物のようにふるまっていました。私も、そんな叔父の姿をよく覚えています。

ところが、ここ何年かは親戚の誰も叔父に会っていませんでした。父も、弟がどこで何をしているのか、詳しくは知らないようでした。

そんなある日、叔父がもう長くないと電話で知らされました。

それから数か月後、叔父は亡くなりました。叔父には子どもがおらず、妻がいました。

葬儀を内々で済ませた夜、私は実家の居間で、年老いた父と向かい合って座っていました。

座卓には、香典の帳面が開いたままになっています。

「これで、ひと区切りだね」

私がそう言うと、父は小さくうなずきました。

「ああ……。あいつ、あんなに派手なのが好きだったのになあ」

父は帳面をそっと閉じました。その顔は寂しそうでしたが、どこかほっとしているようにも見えました。

けれど、これですべてが終わったわけではなかったのです。

父のもとに届いた、見知らぬ会社からの請求書

それから数日後の昼、実家の居間に入ると、父が座卓の前で一枚の書類を見つめていました。

横には、見覚えのない会社名が印刷された封筒が置いてあります。

「お父さん、どうしたの?」

声をかけると、父はゆっくり顔を上げました。

「……あいつ、借金を残していったらしい」

「えっ? 借金って、叔父さんの?」

驚いて書類をのぞき込むと、そこには叔父が借りたお金について、父に返済を求める内容が書かれていました。

「ちょっと待って。どうしてお父さんに請求が来るの?」

「それが、俺にもよく分からなくてな……」

父は困り果てた様子で、書類に目を落としました。

わが家は家を建てたばかりで、余分なお金などありません。

そもそも、叔父の借金を父が払わなければならないのでしょうか。

「これ、本当に払わないといけないのかな……」

父の不安そうな声を聞き、私まで怖くなりました。

いつも気前よくふるまっていた叔父に、借金があったなんて。しかも亡くなったあとに、こんな知らせが届くとは思いもしませんでした。

ただ、何も分からないままお金を払うわけにはいきません。

私は父を連れて、すぐに弁護士さんへ相談に行くことにしました。

弁護士の言葉に安心した父。それでも残った恐怖

弁護士さんには、これまでの事情を説明し、届いた書類も見てもらいました。

話を聞いた弁護士さんは、落ち着いた声で言いました。

「相続を放棄すれば、払わなくて済みます」

「えっ、本当ですか? 父は払わなくてもいいんですか?」

「はい。家庭裁判所で、きちんと相続放棄の手続きをする必要があります」

その言葉を聞いた瞬間、張りつめていた気持ちが少しだけ緩みました。

隣を見ると、父も深くうなずいています。

「そうですか……。よかった」

父の肩から、ふっと力が抜けたように見えました。

その後、父の相続放棄の手続きは無事に終わりました。叔父の借金を相続によって負担せずに済み、それ以降、父のもとに新たな請求が届くこともありませんでした。

手続きを終えた日、父は香典の帳面を引き出しにしまいながら、ぽつりとつぶやきました。

「あいつは最後まで、何も言わなかったな」

その言葉を聞いたとき、私の頭に浮かんだのは、昔の叔父の姿でした。

親戚の前で豪快に笑い、いつも余裕たっぷりだった叔父。

あの羽振りのよさは、いったい何に支えられていたのでしょうか。

叔父がいつから借金を抱えていたのか、私には分かりません。

もしかすると、私たちの前で笑っていたあのころにも、誰にも言えない事情を抱えていたのかもしれません。

借金の問題は解決しました。それでも、何も知らずに見ていたあの笑顔を思い出すと、今でも背筋が冷たくなるのです。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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