「税金が高かったって、二人とも?」兄と兄嫁が別々に実家で借金。だが、父の質問に二人が顔を見合わせた瞬間
母から聞いた、二人の同じ言い分
兄は結婚して家を出てからも、ときどき両親にお金を借りていたようです。
そのことを知ったのは、実家で母とお茶を飲んでいたときでした。
母は少しためらいながら、こんな話を始めました。
「春にね、お兄ちゃんが来たの。税金が思ったより高かったって言うから、お金を立て替えてあげたんだけど…」
私はうなずきながら聞いていました。ところが、母の話には続きがあったのです。
「そのあと、お嫁さんもひとりで来たのよ。あの人も税金が高かったって言うから、渡しちゃったの」
「えっ、ちょっと待って。二人とも同じ理由でお金を借りに来たの?」
母は困ったようにうなずきました。
しかも、どちらからもお金は返ってきていないというのです。
母が兄に返済のことを聞いても、こんな返事だったそうです。
「親なんだから、そんな細かいこと言わないでよ。そのうち返すって」
兄嫁にも話したところ、途中でさえぎられたといいます。
「お義母さん、家族なのにお金の話ばかりされると、悲しくなります」
もちろん、二人が本当に何の税金に困っていたのかは分かりません。ただ、別々にお金を借りて、返済の話を避けていることには納得できませんでした。
父の質問に、顔を見合わせた兄夫婦
この話を聞いた父は、しばらく黙っていました。
そして別の日の夜、兄と兄嫁をそろって実家へ呼びました。私も父に言われ、その場に同席しました。
座卓の奥に父と母、向かい側に兄と兄嫁が並んで座り、私は座卓の端にいました。
兄は腕を組んだまま、面倒くさそうに口を開きました。
「それで、何の用?明日も早いんだけど」
父は落ち着いた声で話し始めました。
「お前、春に税金が高かったって、お金を借りに来ただろ。嫁さんも、あとから同じことを言って来たそうだな」
その瞬間、兄と兄嫁が顔を見合わせました。二人とも、予想していなかった話を聞いたような表情でした。
父は二人を見ながら、続けました。
「同じ税金を2回払ったの?」
兄は何か言いかけましたが、すぐに口を閉じました。
「別々の税金なら、そう説明してくれればいい。通知書はあるか?見せてほしいんだが」
「いや、通知書は、その……」
兄の返事は歯切れが悪く、兄嫁も兄の袖を引いたまま黙っていました。
結局、その場で二人とも通知書を出すことはできませんでした。
父はそれ以上、税金の話を追及しませんでした。ただ、貸したお金については、はっきりと言いました。
「事情は分かった。でも、借りたお金は返してもらわないと困る。毎月いくらずつ返せるか、ここで決めよう」
母が白い紙とペンを座卓に置きました。
さっきまで腕を組んでいた兄は、肩を落としてうつむきました。兄嫁も何も言わず、二人は返済の計画を書き始めました。
本当に約束どおり返してくれるかは、まだ分かりません。
それでも、母が言い出せずにいたことを、父はきちんと伝えてくれました。
静かな部屋にペンの音が響くなか、私は父の横顔を見ていました。その姿が、いつもより少し大きく見えたのです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














