「ここで開けてもいいですか?」プレゼントを丁寧に包んだ私。だが、お客様がその場でリボンをほどいた理由
贈り物選びに付き合った昼
以前、洋服店で接客をしていたころの話です。
私は、プレゼント選びのお手伝いをするのが好きでした。
贈る相手のことを聞きながら、一緒に服や小物を選ぶ時間が楽しかったのです。
ある日の昼、ニットの棚の前で、女性のお客様が何枚も商品を手に取っては首をかしげていました。
「何かお探しですか?」
声をかけると、お客様は少し困ったように笑いました。
「贈り物なんですけど、もう分からなくなってしまって」
「そうなんですね。よかったら一緒に探しましょう。どんな服を着る方ですか?」
「派手なのは着ないですね。どちらかというと、すっきりした感じです」
話を聞くうちに、私は贈る相手が落ち着いた雰囲気の方なのだろうと想像していました。
いろいろな商品を見比べるなかで、お客様が気に入ったのはストールでした。
売り場の鏡の前で自分の肩に当て、色合いや雰囲気を確かめています。
「贈る方と、背格好が近いんですね」
「ええ、まあ、そうですね」
お客様は少し照れたように笑いました。
私はてっきり、親しい友人かご家族へのプレゼントなのだと思っていました。
30分ほど一緒に迷い、ようやくやわらかな色のストールに決まりました。
「これにします。きっと気に入ります」
その言葉を聞いて、私もうれしくなりました。
丁寧に包んだストールの意外な贈り先
レジに移ると、私は包装紙を広げ、ストールを丁寧に包み始めました。
せっかくの贈り物です。受け取った方に喜んでもらえるよう、折り目もきれいに整えます。
「リボンはどちらの色にしましょう?」
「うーん、あまり目立たないほうが好きだと思うので、こっちでお願いします」
お客様が選んだリボンをかけ、形を整えて差し出しました。
「わあ、きれい!ありがとうございます。いろいろ相談に乗ってもらって、本当に助かりました」
「いえいえ。喜んでいただけるといいですね」
ところが、お客様は包みを受け取っても、その場を離れません。
少し迷った様子で、私の顔を見ました。
「あの……ここで開けてもいいですか?」
「えっ、今ですか?」
思わず聞き返すと、お客様は恥ずかしそうに笑いました。
「実は自分へのご褒美なんです」
「えっ!そうだったんですか!」
思いがけない告白に、私は驚いてしまいました。
派手な服は着ないことも、すっきりした雰囲気が好きなことも、背格好が近いことも、全部お客様ご自身の話だったのです。
私はずっと、まだ会ったことのない誰かへの贈り物だと思い込んでいました。
「じゃあ、贈る方の好みはばっちりですね!」
そう言うと、お客様も声を立てて笑いました。
「そうですね。間違いないです!」
お客様はリボンをほどき、包装紙を開くと、さっそくストールを首に巻きました。
そして鏡をのぞき込み、うれしそうに笑いました。
「ああ、やっぱりこれだ」
その表情を見て、私まで笑顔になりました。
自分へのプレゼントでも、きれいに包んでもらう時間を楽しみたかったのかもしれません。
私はほどかれた包装紙をたたみながら、こんな贈り物の選び方も素敵だなと思いました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














