「そろそろ席を返してもらっていい?」6年生の発表が近づいても動かないママ友。だが、周囲の保護者が伝えたこと
1年生の発表が終わったあとで
子どもの小学校の学習発表会に行った日のことです。
わが家には1年生と6年生の子どもがいて、発表は1年生から学年順に進む予定でした。
最初と最後の発表をよく見たいと思い、私は朝早くから体育館の入り口に並びました。開場と同時に向かったのは、保護者席の最前列。真ん中の席に座り、1年生の発表を見届けました。
ほっとしてカメラを下ろしたとき、2年生と4年生に子どもがいるママ友が近づいてきました。
「ねえ、1年生はもう終わったよね。6年生までは見ないでしょ?」
「その間だけ、席を貸してもらえない?」
6年生の出番までには返してもらえるだろうと思い、私はうなずいて席を立ちました。
少し離れた通路へ移ると、ママ友が後ろの列に向かって手を振っています。
呼ばれてやってきたのは、私とは付き合いのない別のママ友でした。その人は私が譲った席の隣にある空席に座り、二人は並んで撮影を始めました。
楽しそうに話す姿を見ながら、私は通路で6年生の出番を待つことにしました。
返してほしいと伝えたのに
4年生の発表が終わりました。次の5年生が終われば、いよいよ6年生の番です。
私は最前列へ戻り、ママ友に声をかけました。
「ごめんね、そろそろ席を返してもらっていい?」
ところが、ママ友はちらっと私を見ただけで、隣の人に顔を向けてしまいました。
「それでね、さっきの写真なんだけど……」
私への返事はありません。
もう一度、少し声を大きくしました。
「あの、うち6年生もいるから。そろそろ戻りたいんだけど」
すると、ママ友は不思議そうな顔をしました。
「え、そうだったっけ?」
隣のママ友と顔を見合わせ、続けます。
「別に、どこで見ても同じじゃない?」
その言葉に、思わず耳を疑いました。
席を貸したのは、6年生の発表までのつもりです。ここで引き下がったら、朝から並んだ意味がありません。
私はママ友に向き直り、はっきり伝えました。
「朝から並んで取った席なんだ。6年生の発表はここで見たいから、返してほしい」
すると、後ろの列から声がしました。
「朝からずっといらっしゃいましたよね」
振り返ると、朝、私のすぐ後ろに並んでいた保護者でした。
近くにいた別の保護者も、うなずきながら言いました。
「私も入り口で並んでいるところ、見てましたよ」
その言葉に、ママ友は口を閉じました。
周囲の視線にも気づいたのか、隣のママ友と顔を見合わせ、気まずそうにカメラをかばんへしまい始めました。
そして二人は席を立ち、後ろのほうへ移動していきました。
私は声をかけてくれた保護者に小さく頭を下げ、ようやく元の席に座りました。
やがて5年生の発表が終わり、6年生が舞台に並びました。
胸を張って前を向くわが子の姿を見つけ、私はそっとカメラを構えました。
楽しみにしていた最後の発表会を、最初に選んだ席から見届けることができました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














