「6800円、全額返しなさい!」手洗いしただけで縮んだと店で怒鳴る客。広げたブラウスを見て顔色が変わった
レジに置かれた水色のブラウス
先週買った大人のMを返せと、お客様は怒鳴りました
「先週ここで、大人のMを買った。」
4月半ばの平日の昼。駅ビルの小さな洋服店のレジカウンターに、たたんだ水色の小花柄のブラウスが置かれました。
白髪まじりのお客様は、その上に手のひらを載せたまま身を乗り出します。
「6800円、全額返しなさい!」
一度手洗いして、ほんの少し縮んだと言われました
私がレシートの有無を尋ねると、答えは『捨てたわよ。現金で払ったわ』でした。
先週は春物の売り出しで、この柄は何十枚も売れています。
レジの記録だけでは、現金で購入したお客様を特定できません。
売り出しの日は店が混んでいて、お客様の顔にも覚えがありません。
洗濯表示どおりに洗ったのに縮んだ場合は、レシートがなくても商品を確認し、店側に問題があれば返金に応じる決まりです。
お客様は、顔の横に指を1本立てました。
「一度、手洗いしただけよ。」
「縮んだのは、ほんの少し。」
『でも、もう着られないの』と、たたんだブラウスの上を、手のひらでぽんと打ちます。
観劇に一度着て行っただけと、お客様は続けました
うしろには、次のお客様が並び始めていました。それでも声は、さらに大きくなります。
「観劇に一度、着て行ったのに!」
「うしろの人、待ってるわよ!」
この店には『お客様と言い合わない』という決まりもあります。
店長は奥で検品中で、レジには私ひとり。私は言い返さず、まずは商品の状態を確認することにしました。
うしろに並び始めたお客様
ブラウスを押しやられ、決まりどおり受け取りました
お客様は、たたんだブラウスを私の方へぐいと押しやりました。
「ほら、早く受け取りなさい!」
縮みを理由とする返金では、商品を広げて身幅と丈を確かめることになっています。
それも、この店の決まりです。私は両手を差し出して、ブラウスを受け取りました。
広げると、袖も丈も子どもの大きさだと分かりました
カウンターの上でブラウスを広げ、肩の端と端を両手で押さえます。
「この大きさが、大人のMですか?」
袖も丈も、大人用のMサイズとは思えないほど短く見えます。
この店は、大人と子どもで同じ柄の服を売っています。首元のサイズタグを確認すると、そこには「110」の文字がありました。
身幅も丈も、店で販売している子ども用110サイズと変わらないように見えます。
子ども用は大人のMサイズより3000円安い品です。
ほんの少しの縮みで、大人のMサイズが子ども用110サイズの大きさになることはありません。
ほんの少しではこうならないと返すと、顔色が変わりました
「手洗いで縮んだんだってば!」
「ほんの少しでは、こうなりません。」
お客様は観劇に一度着て行ったと言っていました。しかし、目の前にある子ども用110サイズのブラウスでは、その話もつじつまが合いません。
赤かったお客様の顔から、すうっと色が抜けていきます。お客様は広げたブラウスを両手で丸め、バッグの口へ押し込みました。
洗濯済みで、縮みなどの不具合も確認できないため、子ども用の価格でも返金はできないと私は伝えました。
お客様は白い顔のまま、並ぶ人の脇をすり抜けて、店を出ていきました。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














