「ドアノブに掛けた。大家を呼べ」借りたカメラを返したと言い張り、住人を泥棒扱いする元彼。階段の下で硬直
届かない一眼レフ
元彼は、カメラをドアノブに掛けて返したと言いました
「ドアノブに掛けた。大家を呼べ。」
月曜の夜7時、仕事から帰ると、アパートの外階段の下で、先週別れた元彼が待っていました。
先月貸した一眼レフは、私が初任給で買った物です。
土曜に『夜10時に返しに行く』と連絡が来たのに、カメラは届いていません。
『返せないなら、代金を払って』と送ったら、今夜ここへ来ました。
「何も、掛かってなかった。」
私はそう伝えましたが、元彼は自分が返しに来たと言い張るばかりでした。
元彼は大家さんに、真っ暗な階段を上がったと言いました
元彼は私の返事も聞かず、1階の大家さんの戸をたたきました。
出てきた大家さんに『土曜の夜10時に、返しに来ました』とまくし立てます。
「真っ暗な階段を、上がったんだ。」
手すりにつかまって一段ずつ、スマホで足もとを照らして、と言います。
「明かりなんか、一つもない。」
その言葉を聞いて、私は違和感を覚えました。元彼が最後にこのアパートへ来たときと、今では階段の様子が違っていたからです。
住人が盗ったと言われ、大家さんまで私を見ました
「なくなったなら、住人が盗ったんだ。」
明かりもない階段なら、盗られても誰も気づかない。
インターホンを2回押しても出ないから、ドアノブに掛けた、と元彼は言い立てます。
大家さんは『うちで物がなくなるなんて、困るわ』と、事情を知る私に目を向けました。
土曜の夜、私はずっと部屋にいて、インターホンは一度も鳴っていません。
でも、音だけの古いインターホンでは、それを示せません。元彼の話を信じられないからといって、ほかの住人まで疑うわけにもいきませんでした。
それでも、元彼の説明には確かめられる点が一つありました。
コートの前を握った指先が、冷たくなっていきました。
住人のせいにされて
疑うなら見てこいと言われ、私は手すりに手をかけました
元彼は、私の顔をのぞき込みました。
「疑うなら、上がって見てこい。」
私は黙って、手すりに手をかけました。
階段を3段上がると、壁の明かりがぱっとつきました
そのまま3段上がると、壁の明かりがぱっとつき、階段の足もとから2階の私の部屋の前までを照らしました。
「上がれば必ず、つく明かりです。」
別れたあと、暗い階段を一人で上がるのが怖くなり、大家さんに相談して、先週の水曜、自分のドアの横に磁石で留めた電池式のセンサーライトです。
階段の3段目まで上がると、人の動きを感知して点灯するように設置していました。
設置してから毎晩使っていますが、階段を上がっても点灯しなかったことはありません。
もちろん、土曜の夜だけ点灯しなかった可能性まで否定できるわけではありません。
それでも、元彼はライトの存在に一切触れず、明かりが一つもなかったと言い切っていたのです。
元彼が最後にここへ来た2週間前、明かりはまだありませんでした。
私は元彼の説明が怪しいと思っていましたが、口で言い合うだけでは決着がつきません。
外階段を普段使わない大家さんにも、実際に明かりがつくところを見てもらいたかったのです。
明かりの下で、元彼は目の上に手をかざしました
「あとから付けたんだろ!」
元彼はまぶしそうに目の上へ手をかざしながら、声を荒らげました。
「2階の人は毎晩、これで帰ります。」
私は大家さんに向き直りました。2階のほかの部屋の人も、水曜から毎晩、この明かりを使って帰ってきます。
設置した時期も、普段きちんと点灯していることも、ほかの住人に確認できるはずです。
大家さんが戸口から、『じゃあ、2階の皆さんに聞いてみましょうか』。
すると、元彼は急に口数が減りました。
さっきまで細かく説明していた階段の様子についても、それ以上話そうとしません。
大家さんが住人への確認を進めようとすると、元彼はうつむいてしまいました。
しばらく黙り込んだあと、元彼はようやく、カメラを返しに来ていなかったことを認めました。
実際には、借りたカメラを先月のうちに売っていたのです。
私は改めて代金の支払いを求めました。
元彼は渋い顔をしましたが、大家さんも見ている前で、それ以上言い逃れはできないと思ったようです。スマホを取り出し、その場で代金を私に振り込みました。
『二度と、うちの階段に来ないで』と、大家さん。
元彼は階段の下で立ち尽くし、再び目の上へ手をかざしました。白い明かりに照らされたまま、最後まで私たちと目を合わせようとはしませんでした。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














