「無駄遣いはやめて」が口癖の妻。だが、夫がクローゼットから見つけてしまった、無駄遣いの証拠に妻が黙った瞬間
削られていく小遣い
共働きの我が家では、家計の管理はずっと妻の担当だった。
「無駄遣いはやめて」
それが妻の決まり文句で、私の小遣いは月にわずかな額まで切り詰められていた。自動販売機でお茶を買うのさえ、少しためらうほどだった。
ボーナスが出ても、使い道はすべて妻が決める。欲しかった腕時計も、何年も先送りにしてきた。
財布の中はいつも小銭ばかりで、後輩にコーヒー一杯おごるのにも頭を悩ませる。それでも、我が家の家計は火の車なのだと思い込んでいた。
「二人の将来のためなの。今は貯めどきなんだから」
妻がそう言うたび、私は黙ってうなずいた。堅実な人と結婚できて、自分は幸せなのだ。そう思おうとしていた。
見慣れない革のバッグ
異変に気づいたのは、季節外れの上着をしまおうと、クローゼットを開けた時だった。
棚の奥から、ずしりと重い紙袋が出てきた。
中身は、明らかに高価そうな革のバッグ。タグには、私の何ヶ月分もの小遣いに当たる値段が記されていた。
ブランドのロゴを見た瞬間、頭が真っ白になった。節約、節約と言い続けてきた妻が、なぜこんな物を隠し持っているのか。
その夜、帰宅した妻に、バッグを見せて尋ねた。
「クローゼットのバッグは?」
妻の表情が、みるみるこわばっていく。
「……なんで勝手に人の物を見るのよ」
声は尖っていたが、目はこちらを見ていなかった。
もう一つの口座
静かに問い詰めていくうち、妻はとうとう観念したように白状した。
パート代を私に一言も告げず、自分だけの口座にため込んでいたという。そのお金で、こっそり欲しい物を買っていたのだ。
「無駄遣いはやめて、って毎日俺に言ってたよね」
妻は言い返そうとして、途中で口をつぐんだ。それきり、うつむいて動かなくなった。
「一度だけじゃないよね。この通帳、何年分あるの」
妻は答えず、ただ肩を落とした。
通帳には、私の知らないお金の流れが、何ページにもわたって記されていた。
少しずつ、しかし確実に、家族のためという名目とは違う場所へ、お金は消えていたのだ。
「……ずるいこと、してた。本当にごめんなさい」
私は責め立てなかった。代わりに、家計簿のアプリを開いて、妻の隣に腰を下ろした。
「これからは、二人の収入も貯金も、全部見せ合おう。それでいいよね」
妻は消え入りそうな声で、うん、と答えた。
翌月から、ばらばらだった口座は一つにまとまった。私の小遣いも、人並みの額に戻った。
あの紙袋を見つけた日を境に、我が家のお金は、ようやく二人の目に見えるものになったのだ。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














