「18万円じゃ少なくない?」初任給に苦言を呈する祖母。だが、黙っていた父が電話をかけ直した理由
就職が決まった日の食卓で
高校を卒業して就職することが決まったときのことです。
何社か求人を見比べ、仕事内容や通いやすさも考えたうえで、私は地元の会社に就職することを決めました。両親も「自分で決めたなら頑張りなさい」と応援してくれていました。
正式に内定が決まった週末、母が夕食を少し豪華にしてくれました。家族で食卓を囲んでいると、家の電話が鳴りました。
電話の相手は、父方の祖母でした。
「就職、決まったんだって?」
「うん。春から働くよ」
最初は普通に話していたのですが、祖母は父から初任給の金額を聞いていたようです。
「でも、18万円じゃ少なくない?それで大丈夫なの?」
悪気はなかったのかもしれません。ただ、ようやく決まった就職先だっただけに、その言葉は思った以上に胸に残りました。
「最初はそんなものだと思うし、仕事内容もちゃんと見て決めたから」
そう答えましたが、祖母は「そうなの」と言ったあと、別の話をして電話を切りました。
嬉しかった気持ちが、少しだけしぼんだ
食卓へ戻ると、母が「おばあちゃん、何だって?」と聞きました。
私は詳しく話す気になれず、「給料、大丈夫なのかって」とだけ答えました。
母は少し困った顔をして、「最初のお給料だけで仕事の良し悪しは決まらないよ」と言ってくれました。
それでも私は、さっきまで楽しみにしていた春からの生活を、急に不安に感じ始めていました。
求人票を何度も見て、自分なりに考えて決めた会社です。それなのに、金額だけを聞いて「大丈夫なの?」と言われると、自分の選択そのものを否定されたような気持ちになってしまいました。
その間、父はほとんど何も言いませんでした。
父が祖母に伝えたこと
夕食が終わったあと、父が電話の前に座りました。
相手は、さっきの祖母でした。
「母さん、さっき給料のこと言ったみたいだけど」
父は怒っている様子ではありませんでした。
「あの子、自分で求人を見て、何か月も考えて決めたんだよ」
少し間を置いて、父は続けました。
「給料だけ見たら、もっと高いところもあった。でも仕事内容とか通いやすさとか、本人なりに考えて選んだんだから。それでいいだろ」
祖母が何か答えたようでした。
父は最後に、「せっかく決まって喜んでるんだから、まずは応援してやってよ」と言って電話を切りました。
そして私のほうを見ると、
「最初から全部そろってる仕事なんて、なかなかないからな」
とだけ言いました。
その一言で、不思議と気持ちが軽くなったのを覚えています。
後日、祖母から「仕事、無理せず頑張りなさいね」と電話がありました。初任給について、それ以上何か言われることはありませんでした。
あのとき父が伝えてくれたのは、給料の高い低いではなく、自分で考えて選んだことを尊重してほしい、ということだったのだと思います。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














