「奇遇だね。今日はどこ行ってたの?」偶然を装って近づいてくる知人。だが、相談した両親が救ってくれた瞬間
家族に話したあとで
ひとりで抱えていたことを家族に打ち明けてから、家の空気が少しだけ変わりました。
行く先々に先回りして現れる知人のこと。
会うたびに腕へ手を添えてくる、その距離の近さのこと。
話を聞いた両親は、私を責めることも、必要以上に騒ぐこともしませんでした。
「次に会うことがあったら、私たちも一緒にいるから」
母がそう言って、父も黙ってうなずきます。
ずっと身構えていた肩の力が、ほんの少しだけ抜けていきました。
それまでの私は、知人に何を聞かれても曖昧に笑ってやり過ごし、嫌だという気持ちをひとりで飲み込むばかりでした。
家族に打ち明けるまで、これほど気持ちが軽くなるとは思ってもみませんでした。
駅前で、また
その週末、家族で出かけた帰りのことです。
駅前の広場に差しかかると、あの知人が先回りするように立っていました。
「奇遇だね。今日はどこ行ってたの?」
いつもの調子で近づいてきて、私の腕に手を伸ばそうとします。
けれど、その日は隣に父がいました。
以前の私なら、また作り笑いを浮かべて受け流していたはずです。
けれど今日は、少し離れたところから母も見守ってくれています。
私は一度だけ息を吸って、まっすぐ相手を見ます。
「ついて来るのは、もうやめてほしい」
やっと口にできた一言でした。声は小さかったけれど、震えてはいませんでした。
守ってもらえた安心
相手は一瞬、きょとんとした顔をしました。
「え、私、そんなつもりじゃ……」
言いかけたところで、父が静かに前へ出ると、口をつぐみます。母も、私のそばにそっと寄り添ってくれました。
「娘が困っているんです。これからは、少し距離を置いてもらえますか」
父の声は穏やかでしたが、言葉ははっきりしていました。
知人は小さく会釈をして、そのまま人混みのほうへ歩いていきます。それきり、行く先々で顔を合わせることはなくなりました。
あれほど毎日のように顔を合わせていたのに、不思議なくらい、ぱたりと会わなくなりました。
ひとりでは越えられなかった一線を、家族と一緒だから越えられたのです。
「よく言えたね。もう大丈夫」
母が私の背中に手を置きました。三人で並んで歩く帰り道は、来たときよりも少しだけ明るく見えました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














