「さっきから待ってるんだけど!」旅館の朝食でスタッフを何度も急かす客。だが、スタッフの一言で状況が一変
朝食会場で聞こえてきた強い声
週末、友人と山あいの温泉旅館へ泊まりに行ったときのことです。
前日の夜は温泉に入り、夕食もゆっくり楽しんだせいか、翌朝は少し寝坊してしまいました。
身支度を済ませて朝食会場へ向かったのは、八時を少し過ぎたころです。
会場はすでに多くの宿泊客でにぎわっていました。和食や洋食が並ぶバイキング形式で、私たちも皿を手に料理を取っていきました。
その途中、焼き魚が置かれていた大皿が空になっていることに気づきました。
数人がその場で少し待っていると、近くにいた五十代くらいの男性がスタッフを呼び止めました。
「焼き魚、まだなの?」
スタッフの女性は、「ただいま準備しております。少々お待ちください」と丁寧に答えます。
ところが男性は納得しなかったようです。
「さっきから待ってるんだけど!こういうのは切らさないようにしてよ」
少し離れた場所まで聞こえるほどの声でした。
スタッフはもう一度頭を下げ、厨房へ戻っていきました。
それから数分後、新しい焼き魚が運ばれてきました。
すると男性は、待っていたほかの宿泊客より先に大皿へ近づき、次々と自分の皿へ取り始めたのです。
後ろにはまだ何人も待っています。
私も友人と顔を見合わせましたが、旅先で知らない人に声をかける勇気まではありませんでした。
スタッフが静かに伝えたこと
そのとき、料理を運んできたスタッフが男性のそばで立ち止まりました。
「恐れ入ります。後ろにもお待ちのお客様がいらっしゃいますので、皆さまに行き渡るようご協力いただけますでしょうか」
責めるような言い方ではありませんでした。
男性は一瞬手を止めると、後ろの列を振り返りました。
「別に、取っちゃ駄目ってわけじゃないだろ」
少し不満そうにそう言いましたが、スタッフは声を荒らげることなく答えました。
「もちろんお召し上がりいただけます。ただ、追加も順次お持ちしますので、まずは皆さまでお取りいただければと思います」
男性は何も言わず、途中まで取った皿を持ってその場を離れていきました。
それをきっかけに、止まりかけていた列も再び動き始めます。
しばらくすると次の焼き魚も補充され、結局、待っていた人たちは問題なく料理を取ることができました。
男性の態度には少し驚きましたが、それ以上に印象に残ったのはスタッフの対応でした。
相手の言い方につられて強く言い返すのではなく、ほかのお客さんへの配慮を淡々と伝える。その姿を見て、こういう場面では落ち着いて言葉を選ぶことが大切なのだと感じた朝でした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














