「30分だけ時間ください」顧客提案の前日、ばらばらだったチーム。だが、私の一言で状況が一変した
メンバーごとにスピードが違う、提案準備の風景
4人のチームで動いていた、顧客向けの提案資料。
その日のメンバーは、それぞれが別々のテンポで仕事をしていました。
営業の主担当は、終日クライアント訪問が連続していて、戻ってきたのは夕方。
企画担当の同期は、翌週納期の別案件をまず仕上げたい様子で、提案資料は二の次。
デザインを担う後輩は、別チームから入ってきた急ぎのレビューを優先していて、こちらの図には触れられていない。
そして、提案の構成案を一週間前にまとめてあげた私だけが、明日の朝の本番までの残り時間を、刻一刻と数えていました。
同じプロジェクトを動かしているはずなのに、それぞれの頭の中で「いま一番大事なもの」が違う。
その温度差が、夕方のフロアに静かにわだかまっていました。
(私から動かないと、たぶん今夜は止まったまま)
そう感じた瞬間、自分の中でスイッチが入ったのを覚えています。
会議室を押さえて、ホワイトボードに並べた瞬間
私は社内のスケジューラーで小会議室を一枠だけ押さえ、3人のチャットに「30分だけ時間ください」と短く送りました。
渋い顔をしながら集まってくれた3人を前に、私はホワイトボードのペンを取りました。
「もう一回、ここで整理させてください」
明日の提案の章立てを大きく書き、横に各自の名前を並べる。誰が何を持っているのか、何時までに何を仕上げる必要があるのかを、見える形に置き直していきました。
そのとき、ふと営業の主担当が「そういえば」と口を開いたのです。
クライアントから前週に届いていた仕様変更の連絡が、本人の受信箱で止まったままになっていることが、その場で発覚しました。
もしホワイトボードを使ってひとつずつ確認していなければ、私たちは古い前提のまま提案していたかもしれません。背中の真ん中を、すっと冷たい風が抜けていきました。
仕様変更を反映した上で、それぞれの担当時刻と納品先を書き込み直し、合意したのが30分後。
会議室を出る頃には、3人の足取りはあきらかに揃っていました。
その夜のうちに、それぞれから差分の資料がチャットに流れ込みます。翌朝の本番では、クライアントから仕様変更を踏まえた踏み込んだ質問まで返ってきました。
提案を終えてフロアに戻ったとき、後輩がぽつりとつぶやきました。
「昨日、整理してもらえてよかったです」
誰かに動いてもらうのを待たず、自分から30分の場を作る。
その小さな一歩で、温度差は驚くほどあっさり溶けていく。あの会議室で書いたホワイトボードの線が、今でも私の中に残っています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














