
受験生を救うはずの「指導者」が手を染めた禁じ手と、形骸化する入試チェック体制のジレンマ
多様化する現代の大学入試制度において、受験生の「努力の証明」として定着した民間試験の活用。
しかし今、その信頼性を根本から揺るがす前代未聞の不正事件が明らかになりました。
大阪府警は5月18日、元塾講師の男を、教え子の英検を替え玉受検し、近畿大学の推薦入試に不正合格させた疑いで逮捕しました。
男は教え子の名で英検2級に合格しただけでなく、近大入試の受験票用に、自身と教え子の顔特徴を組み合わせた「加工写真」を作成して提出していたという、あまりにも歪んだ執着と工作が浮き彫りになったのです。
この事件は、教育者であるはずの塾講師が主導した点、そして「顔の合成写真」という身勝手なテクノロジーの悪用にあります。
英検での身代わり受検を隠蔽するため、両者の顔を合成した写真を近大側に提出する巧妙さを見せながらも、結局は入学後の学生証にその「奇妙な加工写真」が使われたことで家族が不審に思い、発覚に至るという何ともお粗末な結末を迎えました。
結果として教え子の合格は取り消され、当事者たちは人生の大きな代償を支払うことになりましたが、この事件は真面目に受験に挑む多くの若者や保護者に、深い失望と怒りを与えています。
SNS上でも、この前代未聞の不正に対する批判や懸念の声が相次いでいます。
『塾の講師という、本来なら不正を止め、正しい道に導くべき立場の人間がこんなことをするなんて、言葉も出ない』
『手口の雑さにも呆れるが、何よりも真面目に勉強して英検を受け、合格を勝ち取ろうとしている一般の受験生たちが一番気の毒すぎる』
『写真加工技術や生成AIが簡単に使える今、身元確認のプロセス自体を見直さないと、今後こういう事例はもっと増えていきそうだ』
『民間試験の活用は良い取り組みだが、各試験団体と大学側の連携や、本人確認のチェック体制が甘すぎるのではないか』
大学入試の「多面的評価」や「受験生の負担軽減」のために導入が進む民間試験活用ですが、約3割の大学が取り入れるまでに拡大した今、その本人確認や管理体制は個々の試験団体や大学の「現場の信頼」に委ねられています。
不正を完璧に防ぐために、指紋認証や厳密な生体データの照合システムを導入すれば、今度は受験料の高騰や手続きの煩雑化という形で、すべての受験生に新たなコストと負担を強いることになります。
しかし、教育の公正さを守るためのコストを惜しんでいては、入試制度そのものの信頼が失墜し、真の学力や努力が評価されない社会になってしまいかねません。














