「次は勝って全部返す」借金を隠していた夫。だが、妻が財布を取り上げた結果
隠していた借金
夫が転職してから、家計は目に見えて苦しくなった。それでも二人で乗り切ろうと、私は必死に切り詰めていた。
ところがある日、郵便受けに見覚えのない督促の封筒が届いていた。
問い詰めると、夫は結婚前からギャンブルの借金を抱えていたと白状した。減るどころか、給料が下がってからもこっそり通い続け、額を膨らませていたのだ。
「次は勝って全部返す」
夫は真顔でそう言い切った。勝って返す。
その発想こそが、私にはいちばん恐ろしかった。
借金をギャンブルで返そうという人に、これ以上お金を任せられるわけがない。このまま黙っていたら、家ごと沈んでしまう。子どもたちの顔が頭をよぎった。
財布を取り上げた朝
私はその夜、電卓を叩いて返済計画を一から組み直した。
収入、生活費、毎月返せる額。数字は嘘をつかない。
翌朝、まだ眠そうな夫の前に、私は書き上げた計画表をそっと置き、夫の財布を取り上げた。
「財布は返さない。返済は月3万から」
夫は気色ばんで「俺の金だろ」と声を荒げた。
けれど私が一項目ずつ数字を読み上げると、その勢いはみるみるしぼんでいく。
反論の言葉を探して、口を開きかけては閉じ、やがて視線を落として黙り込んだ。
「これでも足りないくらいなんだよ」
私が家計簿を突き出すと、夫は最後には肩を落とし、「……そうするしかないか」と力なくうなずいた。
その日から、家のお金は一円残らず私が握ることになった。小遣いは月3万、ギャンブルは完全にやめること。約束は紙に書いて、二人で署名した。
変わっていく背中
小遣い制になった夫は、最初こそ不満げで、ため息をついていた。
「これじゃ足りない」とこぼすこともあったが、私は取り合わなかった。
それでも決めた返済額を毎月きちんと納め、ギャンブルからはぴたりと足が遠のいていった。
半年が過ぎると借金はぐんと減り、夫は文句も言わず働くようになった。転職先でも真面目に評価され、少しずつ収入も戻ってきた。
頼んでもいないのに皿を洗い、洗濯物を畳む背中を見て、私はようやく胸をなでおろした。
あの朝、思い切って財布を取り上げていなければ、今の食卓はなかったかもしれない。
「本気で見放されると思った」
そう照れ笑いする夫は、あの頃とは別人のようだった。財布を取り上げたあの朝の決断は、間違っていなかったと思う。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














