「シャンプー、どこに置いた?」詰め替えてくれた夫。だが、その後の行動に呆れたワケ
気が利く夫の自負
うちの夫は、自分では気が利くタイプだと思っている。
休日にはよく「なにか手伝うことある?」と聞いてくれるし、その心意気自体はありがたい。
ある晩、2歳の娘をお風呂に入れる支度をしていると、子供用シャンプーが空になりかけているのに気づいた。
台所にいた夫が、胸を張るように言った。
「詰め替えとくよ」
普段から「気が利く俺」を自認している人だ。
ここで任せておけば大丈夫だろうと、私も特に疑わなかった。
「ほんと?ありがとう」お言葉に甘えて、私は娘を連れて先に洗い場へ入った。
湯船のふちに座らせた娘が、上機嫌で足をぱたぱたさせている。
今夜はいつもより早くお風呂を切り上げられそうだと、私は少しだけ気を抜いていた。
止まった親切
娘の体を洗い、いよいよ髪を洗おうという段になって、私は手を止めた。
新しいシャンプーが、どこにも見当たらないのだ。
「シャンプー、どこに置いた?」湯気の向こうへ声をかける。
「ちゃんと詰め替えたよ」得意げな返事だけが返ってきた。
「詰め替えたのはわかったから、こっちに持ってきて」もう一度そう伝えても、返ってくるのは「置いといたよ」の一点張りだった。
泡で目をつぶった娘を片手で抱え、私は仕方なく濡れた体のまま扉を開けた。
脱衣所の棚に、満タンのボトルが一本きれいに立っている。
運ぶ、という最後の工程だけが、すっぽり抜け落ちていた。
髪を洗ってとせがむ娘の声を背に、私は水滴をぽたぽた落としながらボトルを取りに戻る。
せっかくの親切が、あと数歩のところで宙ぶらりんになっていた。
最後の一工程
ソファでくつろぐ夫に、私はあえてにっこり笑いかけた。
「運ぶまでが仕事だよ?」
「…詰め替えたら終わりだと思ってた」夫は本気で驚いた顔をしている。
「詰め替えは準備運動。届けて初めてゴールなの」
夫はしばらく黙り込み、それからボトルをつかんで小走りで浴室へ運んできた。
ばつの悪そうな横顔がおかしくて、私はまた笑ってしまう。
「これからは、ちゃんと持ってくよ」そう言って、娘の背中を流すのを手伝ってくれた。
あの日から、夫の「やっとくよ」は最後までやり切る合言葉に変わった。
洗濯物も、買い物の袋も、途中で放り出さない。気が利くと胸を張るなら、締めくくりまでが親切なのだ。
今では娘が「パパ、はこんで!」と真似をする。ゴールまで走る夫の背中を、私は少しだけ見直している。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














