「話を聞くよ、全部話してみて」踏み込んだ質問をしてくるママ友。だが、別のママ友の何気ない一言に感じた違和感とは
「全部話してみて」と促す人
子どもがまだ小さかった頃、同じ月齢の子を持つママ友と親しくなった。
聞き上手で、こちらの話を熱心に引き出してくれる人だった。
ただ、彼女の聞き方には、どこか独特のものがあった。
私がほんの少し言葉を濁すと、決まって身を乗り出してくるのだ。
「話を聞くよ、全部話してみて」
その一言に押されて、私はいつも、話す気のなかったことまで打ち明けてしまうのだった。
夫の仕事のこと、実家との距離のこと。胸にしまっておくつもりだった事情まで。
彼女は真剣な顔でうなずき、時にメモでも取りそうな熱心さで耳を傾けた。相談に乗ってもらっている、という気持ちが、私の警戒心をすっかり緩めていた。
話してしまえば、確かに気は楽になる。でも今思えば、彼女が引き出していたのは、悩みではなく私の情報だったのかもしれない。
夫の給料のこと、義理の親とのこと。彼女の問いは、いつも家の内側へ内側へと入り込んでいった。
めぐって、戻ってきた
おかしいと感じたのは、別のママ友の何気ない一言からだった。
「実家と、いろいろあるみたいで大変ね」
その人に、私はそんな話をした覚えがない。なのに、内容はやけに具体的だった。頭の中で、点と点がつながっていく。
私の事情を、これほど細かく知っているのは、あの聞き上手な彼女だけだった。
親身に耳を傾けていたその人が、聞いた話を別の場所で広げていたのだ。
確信したとき、不思議と怒りは湧かなかった。ただ、深く息を吐いて、心に一本の線を引いた。
あれほど頼りにしていた相手が、実は一番遠ざけるべき人だったのだと、静かに腑に落ちていった。
それからの私は、話す相手を選ぶようになった。彼女には、当たり障りのない世間話だけ。踏み込まれても、笑ってかわす術を覚えた。
変化は、私の周りだけではなかった。同じように話を漏らされた人たちが、彼女から静かに離れ始めていた。
約束をしても、直前に断られる。輪に入ろうとすると、みなそっと口をつぐむ。
いつも聞き役として頼られていた彼女は、気づけば誰からも本音を打ち明けられなくなっていた。人の秘密を握ることで中心にいた人が、その秘密によって輪の外へ押し出されていく。
見ていて、どこか物悲しくもあった。
信頼は、一度こぼすと戻らない。誰に何を話すかを決めるのは、自分自身だ。当たり前のことを、私はあの一件であらためて思い知った。以来、胸の内は、本当に信じられる相手にだけ開くと決めている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














