「10年黙ってた、そろそろ言わないと」結婚の挨拶からずっと義父と口裏を合わせていた夫。私についた嘘とは
笑顔で迎えてくれる義父を、信じていた
結婚の挨拶に伺ったとき、義父は職場兼自宅で自営業をしていると話してくれた。
一階の店はいつも閉まっていたけれど、それは「息子夫婦が来るから、その日は店を休みにしているんだ」という説明だった。
私は、なんて優しい人なのだろうと感じていた。
それからも、義父の家を訪ねるたびに店のシャッターは下りたままだった。
夫も義父も、口をそろえて「気づかいで閉めているだけ」と言う。
私は疑うことすらしなかった。むしろ、迎えるたびに仕事を休んでくれる義父を、家族思いの人だと敬っていた。
年月が過ぎるほど、その信頼は厚くなっていった。
正月やお盆に親戚が集まっても、店の話題になると義父はやんわり話をそらした。
「もう歳だから、のんびりやってるよ」
その言葉を、私は謙遜だと受け取っていた。
夫が実家の商売について多くを語らないのも、跡を継がなかった負い目があるからだと、勝手に納得していた。
すべてのつじつまが、私の中で都合よく合っていた。
結婚10年目、夫の告白ですべてが崩れた
結婚して10年ほど経った冬の夜のことだった。
夫が改まった様子で、私の前に座り直した。表情がいつになく硬い。
何を言われるのかと身構える私に、夫は絞り出すように切り出した。
「10年黙ってた、そろそろ言わないと」
その先に続いたのは、思いもよらない事実だった。
義父の店は、私と夫が結婚するより前に、すでに畳まれていた。
義父は今、工場でアルバイトをして暮らしている。
つまり「来客のたびに店を閉めている」という話は、最初から存在しない設定だったのだ。
私は言葉を失った。結婚の挨拶に行ったあの日から、義父と夫はずっと口裏を合わせ、私にだけ真実を伏せていた。
畳んだ店へのプライドを守りたかったのかもしれない。
それでも、身内の二人がかりで、これほど長い年月をかけて嘘を塗り重ねていたという事実に、ぞっとした。
私が信じてきた「優しい義父」の姿は、いったい何だったのだろう。
いちばん近くにいた人が、平気な顔でこれほど長く私を欺けるのなら、ほかに何を隠しているのだろう。
一度そう思ってしまうと、これまでの穏やかな時間まで、作りものだったように色あせて見えた。夫がなぜ今になって打ち明けたのか、その理由さえ素直には受け取れない。
埋まらなかったその溝は、その後もずっと消えることはなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














