「親戚のおじさんの紹介でしょ?」高卒の内定報告を疑う祖母。入社三年目、再開した祖母を黙らせた従兄の一言とは
喜ぶどころか疑われた電話
就職活動の半年間、私は参考書を何冊もすり減らし、面接の練習を鏡の前で繰り返した。
第一志望から内定の連絡をもらった夜、嬉しさのまま田舎の祖母に報告の電話をかけた。
離れた場所に住んでいるのに、身内の話を聞きつけるのが誰より早い人だった。だから一番に伝えたかった。
「親戚のおじさんの紹介でしょ?」
受話器の向こうから返ってきたのは、おめでとうではなく、その一言だった。
高卒の私が自力で受かるはずがない、とでも言いたげだった。まるで不正で入り込んだかのような扱いに、私は言葉を失った。
「ちがうよ、自分で受験して受かったの」
そう返しても、祖母は信じてくれなかった。私はそれ以上説明する気力をなくし、電話を切った。
法事で従兄が放った一言
その日から、私は祖母の前で仕事の話をいっさいしなくなった。親戚が集まる席でも、ただ隅で静かにしていた。
状況が変わったのは、入社三年目の法事だった。たまたま、私と同じ会社で採用業務に携わる従兄が来ていたのだ。祖母は相変わらずだった。
「この子、紹介で入ったわりに、よく続いてるわよね」
聞きとがめた従兄が、箸を置いて口を開いた。
「いや、うちは縁故採用やってませんよ。あの年の試験、倍率かなり高かったんですから」
祖母の表情がこわばった。
「この子は実力で勝ち取った内定です。今じゃ後輩の指導まで任されてて、ちょっとした有名人ですよ」
祖母は反論しようと口を開きかけ、そのまま声にならずに飲み込んだ。気まずそうに目を伏せる。
居合わせた親戚たちが「立派になったねえ」と感心した声をもらし、その場の視線が一斉に私へ集まった。祖母はうつむいたまま、湯呑みをじっと見つめていた。
「ようやく、わかってもらえてうれしいです」
私がそう告げると、祖母は何も言わず、ただ深くうなずいた。いつもの勢いは、どこにもなかった。
それからというもの、祖母は私の仕事を疑うような言葉を二度と口にしなくなった。
集まりの別れ際、私の顔を見て、ばつが悪そうに小さく頭を下げたのが、妙に印象に残っている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














