「うちの子が叩かれた」子供の喧嘩を一方的に広めたママ友。だが、教室の先生がその場で訂正した
園の門で呼び止められて
お迎えの帰り、あまり話したことのないママに呼び止められました。
言いにくそうに、声を落としています。
「あの、変なこと聞いちゃったんだけど」
同じ組のママが、こう話していたというのです。
「うちの子が叩かれた」
足が止まりました。
そのママから電話をもらったのは、前の日の夕方です。
うちの息子とふざけていて相手の子の腕が赤くなった、初めてじゃないと。
私はその場で謝り、息子を連れて伺いますと伝えていました。
謝りに行く前に、話のほうが先を歩いていたのです。
息子が涙をためて言ったこと
電話のあと、息子には話を聞いていました。
最初はもじもじしていましたが、途中から目に涙がたまったのです。
「あの子も僕を叩いてくるよ」
「僕だけがやってるんじゃないよ」
思い当たることはありました。二人が芝生で転がって笑っているのも、うちの子が押されているのも、何度も見ています。
どちらにも悪気はなさそうで、そのたびに手加減を言い聞かせてきました。
それでも、赤くして帰したのはうちの子です。
言い訳をするつもりはありませんでした。
謝罪は、習い事の日に教室の前ですることになりました。
出てきた彼女に、息子が先に頭を下げます。
「痛くしてごめんなさい」
私も並んで謝りました。彼女はそれを受け取ると、周りに届く声で続けたのです。
「うちは何もしていないのに、やられる一方で」
順番を待つママたちが、こちらを見ました。
そこへ、片付けを終えた先生が出てきたのです。
「実は教室でも、お二人はいつもお互いにふざけ合っています。何度も見ています」
いつもと変わらない、穏やかな声でした。
「どちらかが一方的ということは、ありません。じゃれ合いが過ぎて、力の加減が難しいだけです」
彼女の頬が固まりました。言いかけた言葉を飲み込んで、視線が足元に落ちます。
「…見てらしたんですね」
近くのママが小さくうなずき、別の一人は、二人で追いかけっこしていましたよ、と続けたのです。
私は先生に頭を下げてから、彼女に向き直りました。
「痛い思いをさせたことは謝ります。そこは、うちが悪いので」
それ以上は言いませんでした。彼女は小さくうなずいて、子どもの手を引いて出ていったのです。
翌週から、一方的という言葉を聞くことはなくなりました。門で呼び止めてくれたママとは、今も立ち話をします。彼女とは、会えば会釈をするだけです。
子どもたちのほうは、何も変わりません。今日も教室の前で笑い合っていました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














