「おなかすいた。パン食べたい」レジでぐずる子供と困る母親。だが、店員の対応に救われた瞬間
泣き声が響いた夕方のレジ
夕方、スーパーのレジに並んでいたときのことです。
私の前で会計をしていたのは、小さな女の子と赤ちゃんを連れたお母さんでした。
女の子は二歳くらいでしょうか。カートのそばで、お母さんの服を引っ張りながら何度も訴えています。
「おなかすいた。パン食べたい」
お母さんは胸元の抱っこ紐で眠る赤ちゃんを支えながら、女の子に声をかけました。
「もう少しだからね。お会計が終わったら食べようね」
けれど、女の子はとうとう泣き出してしまいました。
レジ台の上には、まだ会計を待つ商品がいくつもあります。
お母さんは財布を出しながら女の子をなだめようとしていましたが、赤ちゃんもいるため思うように動けないようでした。
周囲から視線が集まり、お母さんの表情はますます焦っていきます。
そのとき、女の子がレジ台に置かれていたスティックパンを指さしました。
「それ、食べたい!」
お母さんは困ったようにパンとレジを見比べました。
店員が先に手に取ったもの
すると、レジの店員さんがスティックパンを手に取りました。
「よかったら、そのパンだけ先にお会計しましょうか」
お母さんが一瞬、驚いたような顔をします。
「えっ、いいんですか?」
「はい。先にこちらだけお支払いいただければ、お子さんに渡せますので」
店員さんはパンだけを先に別会計にし、お母さんは急いで支払いを済ませました。
購入済みになった袋を開けて一本渡すと、女の子はすぐに泣きやみ、夢中になってパンを食べ始めます。
「すみません。今日は朝から用事が続いて、お昼もあまり食べてくれなくて……」
お母さんが申し訳なさそうに言うと、店員さんは穏やかに答えました。
「大丈夫ですよ。では、残りのお会計を続けますね」
そのまま残りの商品を順番に読み取っていきます。
女の子が静かになったことで、お母さんもようやく落ち着いて財布を扱えるようになったようでした。
少し前まで張りつめていたレジ周りの空気も、いつの間にかやわらいでいました。
会計を終えると、お母さんは店員さんに何度も頭を下げました。
「本当に助かりました。ありがとうございます」
店員さんは特別なことをしたという様子もなく、「お気をつけて」と親子を送り出しました。
私も最初は、泣き声ばかりが気になっていました。
けれど、お母さんが赤ちゃんを抱えながら買い物をし、女の子をなだめ、会計までこなしている姿をあらためて見ると、外から見ているだけでは分からない大変さがあるのだと思いました。
困っている人を責めるのではなく、今できることを静かに提案した店員さん。
あの日のさりげない一言を、今でも覚えています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














