「子どもがいないと気楽でいいわね」親戚の前で笑った義母。だが、伯母が返した短い一言とは
お盆の集まりで動き回っていた私
夫と結婚して二度目のお盆、私は夫の実家を訪れていました。
座敷には親戚が十人ほど集まり、台所では義母たちが料理や飲み物の準備をしています。
私は手持ち無沙汰になるのも落ち着かず、頂き物のお菓子を小皿に分けて、座敷へ運ぶことにしました。
「ありがとうね」
「去年もよく動いてくれてたわね」
親戚から声をかけられるたび、私は「いえいえ」と笑って皿を配っていきました。
まだ名前と顔が一致しない人も多く、こうして何かしているほうが、かえって気持ちは楽でした。
夫の伯母も皿を受け取ると、隣の座布団を軽くたたきました。
「全部終わったら、ここに座りなさいよ」
「ありがとうございます」
私はそう答えて、残りの皿を配り続けました。
義母が親戚の前で口にしたこと
最後の一皿を置こうとしたときでした。
上座にいた義母が、こちらを見ながら笑って言ったのです。
「でも、子どもがいないと気楽でいいわよね。こういう日でも身軽に動けるし」
その声は、座敷の端まで聞こえるほどの大きさでした。
私たち夫婦に子どもはいません。
けれど、そのことについて誰かに事情を話したこともありませんでしたし、親戚が集まる場で話題にされたくもありませんでした。
さっきまで聞こえていた話し声が、一瞬だけ途切れました。
従兄弟の奥さんは困ったように視線を落とし、何人かは曖昧な笑みを浮かべています。
「……そうですね」
何と返せばいいのかわからず、私はそれだけ言いました。
手元の空き箱をたたもうとしましたが、指先に力が入らず、折り目がなかなか合いませんでした。
伯母が返した短い一言
すると、先ほど座布団を空けてくれていた伯母が口を開きました。
「それ、人前で言うことじゃないわよ」
義母の笑顔が止まりました。
「何よ。別に悪い意味じゃないわよ」
「悪い意味かどうかは、言った側が決めることじゃないでしょう」
伯母はそう言うと、私に向かってもう一度隣の座布団を示しました。
「もう全部配ったんだから、あなたも座って食べなさい」
その言葉に、張りつめていたものが少しだけほどけました。
上座にいた伯父も、「まあ、そういう話はやめよう」と静かに続けます。
義母は何か言いたそうにしていましたが、それ以上は口にしませんでした。
私は伯母の隣に腰を下ろしました。
すぐに座敷では墓参りの時間の話が始まり、先ほどまでの重たい空気も少しずつ薄れていきました。
帰りの車の中で、夫が申し訳なさそうに言いました。
「母さん、昔からああいうことを口にしちゃうところがあるんだ。止められなくてごめん」
私は少し考えてから答えました。
「伯母さんには、助かりましたって伝えておいて」
何も言い返せなかった私にとって、その場で味方になってくれた伯母の一言は、今でも忘れられません。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














