「別に怪我したわけじゃないですよね」子供を注意された母親。だが、私を救った男性の一言とは
滑り台の階段で起きたこと
休日の午後、娘と近所の公園へ遊びに行きました。
娘のお目当ては、いつも子どもたちが集まっている大きな滑り台です。その日も階段の前には数人が並んでいて、娘は何も言わず最後尾につきました。
その少し前に、3歳くらいの子どもがいました。
付き添いらしい女性は、少し離れたベンチに座っています。ときどき遊具のほうを見るものの、手にはずっとスマートフォンを持っていました。
列が一人ぶん進んだとき、その子が前にいた子の横から階段へ入ろうとしました。
階段は子ども同士が横に並べるほど広くありません。押された形になった前の子がよろけ、慌てて手すりを握りました。
「危ないよ、順番だよ」
思わず、私は声をかけました。
「危ないよ。順番に並ぼうね」
叱ったつもりはありませんでした。
その子もすぐに立ち止まり、少し戸惑った顔をしながら後ろへ戻ります。
それで終わると思っていました。
ところが、ベンチにいた女性がこちらへ歩いてきました。
「別に怪我したわけじゃないですよね」
責めるような口調ではありませんでしたが、続けてこう言われました。
「そんなに大げさに言わなくてもいいと思うんですけど」
私は返事に困りました。
怪我をしたから声をかけたのではなく、怪我をしそうだったから声をかけただけです。それでも、よその子どもに口を出した自分のほうが余計なことをしたのだろうかと、一瞬分からなくなりました。
娘も私の顔を見上げています。
後ろから聞こえた一言
そのとき、近くで子どもを見ていた男性が静かに口を開きました。
「うちの子も、危ないことをしたときは声をかけてもらっていますよ」
女性が男性のほうを見ます。
「親がずっと全部見ていられるわけじゃないですし、僕は助かりますけどね」
それだけでした。
女性は少し黙ったあと、自分の子どものほうを見ました。
「……すみません。ちょっと目を離してました」
私に向けた言葉なのか、周りに向けた言葉なのかは分かりません。ただ、それ以上言い合いになることはありませんでした。
女性はスマートフォンを鞄にしまい、滑り台の近くへ移動しました。
「私も気になってました」
少しして、砂場にいた別のお母さんが小さな声で話しかけてくれました。
「さっき、私も危ないなと思ってました」
その一言で、肩に入っていた力が少し抜けました。
誰かを責めたかったわけではありません。
ただ、子ども同士がぶつかったり、階段から落ちたりしないようにと思って声をかけただけでした。
「もう一回すべってくる」
それまで私のそばにいた娘が、そう言って再び列へ向かいます。
滑り台の下では、先ほどの女性も自分の子どものそばに立っていました。
順番が来ると、その子は今度は前の子が滑り終わるのを待ってから、階段を上っていきます。
公園では、知らない子ども同士が同じ遊具を使います。だからこそ、危ないときに近くの大人が声をかけることもある。その日の出来事を通して、そんな当たり前のことを改めて考えました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














