「料金に入ってるんだから、好きに取っていいだろ」朝食会場で料理を残し続けた客。だが、スタッフが正論をぶつけた結果
気になる料理を、少しずつ食べたい男性
家族旅行でホテルに泊まった翌朝、私たちは朝食会場へ向かいました。
料理が並ぶカウンターには、パンや卵料理、煮物などが並んでいます。席もかなり埋まっていて、料理を取る人の列ができていました。
私の少し前に並んでいたのは、50代くらいの男性でした。
男性は大きめの皿を手にすると、パンを何個も取り、空いているところへ総菜を次々に載せていきます。
「いろいろ食べてみたいんだよ。せっかく料金に入ってるんだから」
一緒にいた女性へ、男性がそんなことを話しているのが聞こえました。
なるほど、たくさん食べたいというより、気になる料理を一通り試したいようです。
それなら本人の自由だろうと思い、私も自分の朝食を取りに行きました。
ところが、しばらくして男性の席を見ると、最初に取った料理の多くが残ったままでした。
パンは一口だけかじられ、総菜も少し箸をつけただけです。
それでも男性は再び立ち上がり、新しい皿を持って料理の列へ向かいました。
「次は洋食のほうも食べてみよう」
そう言いながら、また別の料理を何種類も取っています。
テーブルには、食べかけの皿が少しずつ増えていきました。
「料金をいただいているからこそ」
三度目に男性が料理を取りに来たときでした。
近くで料理の補充をしていた女性スタッフが、男性へ静かに声をかけました。
「恐れ入ります。次にお取りになる分は、お召し上がりになれる量でお願いできますでしょうか」
男性は少し不満そうな顔をしました。
「でも、料金に入ってるんだろ。好きに取っていいんじゃないの」
スタッフは言い返すような口調にはならず、落ち着いて答えました。
「はい。もちろん、お好きな料理を何度でもお取りいただけます」
そこで一度言葉を切ってから、続けました。
「ただ、皆さまに気持ちよくお召し上がりいただけるよう、少しずつお取りいただけると助かります」
男性は、自分のテーブルに残っている皿を振り返りました。
何も言わずに少し考えたあと、持っていた皿へ料理を一つだけ取りました。
「じゃあ、これ食べてからまた取りに来るよ」
スタッフは「ありがとうございます」と頭を下げました。
その後、男性が新しい料理を取りに来る回数は減り、取る量も明らかに少なくなっていました。
食べ放題は、好きな料理を好きなだけ楽しめる場所です。ただ、「好きなだけ取ること」と「食べきれないほど取ること」は同じではありません。
相手を責めるのではなく、「少しずつでも何度でも取れます」と伝えたスタッフの言葉が、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














