「夜中ずっと聞こえてるんです」毎晩聞こえたラジオの声。3か月後、玄関先で分かったこと
眠ろうとすると、ラジオの声だけが残った
はじめは、耳鳴りかと思いました。
テレビを消して布団に入ると、遠くから人の話し声が聞こえてきます。
しばらくすると曲が流れ、また誰かがしゃべり始める。
近所のどこかで、ラジオがついているようでした。
昼間なら生活音に紛れて気になりません。
ところが家族が寝静まるころになると、その音だけが妙にはっきり残ります。
ある夜、隣で寝ていた妻が目を開けました。
「…また聞こえるね」
「うん。今日もか…」
「何時?」
スマートフォンを見ると、午前2時を過ぎていました。
「2時すぎ。これじゃ寝られないな」
窓を閉めれば少し小さくなりますが、真夏だったこともあり、毎晩閉め切るのもつらい。
かといって、夜中に音のする家を探して訪ねる気にもなれませんでした。
そんな状態が、3か月ほど続きました。
朝7時になっても、まだ鳴っていた
ある朝、ほとんど眠れないまま起きると、午前7時を過ぎてもラジオが鳴っていました。
外へ出てみると、夜より音の方向が分かりやすく、少し歩いたところにある家の窓から聞こえていることに気づきました。
「あの家だったんだ…」
妻も玄関先まで出てきました。
「どうする?」
「夜中に行くよりはいいと思う。人も通ってるし、今なら音も確認してもらえるから」
私は妻と一緒にその家を訪ねました。
呼び鈴を押すと、中から住人が出てきました。いきなり責めるような言い方にはしたくなかったので、まず事情だけを伝えました。
「朝からすみません。実は夜中にラジオの音がずっと聞こえていて…。うち、ここ3か月くらい眠れない日が続いてるんです」
相手は一瞬、きょとんとした顔をしました。
「えっ…そんなに聞こえてたんですか?」
「窓を開けていると、話している内容が分かるくらいの日もあって」
すると相手は、申し訳なさそうに家の中を振り返りました。
「寝つきが悪くて、小さく流してるつもりだったんです。途中で寝ちゃうこともあって…。外まで響いてるとは思ってませんでした」
事情を聞くと、わざと大きな音を出していたわけではないようでした。
「そうだったんですね。夜だけでも、少し音を下げてもらえると助かります」
「すみません。置く場所も変えます。今夜から気をつけます」
その夜、久しぶりに音を探さなかった
その日の夜、布団に入ると、私は無意識に耳を澄ませました。
けれど、いつもの話し声も曲も聞こえてきません。
「…静かだね」
妻が小さな声で言いました。
「うん。なんか、静かすぎて変な感じするな」
二人で少し笑いました。
それから、夜中のラジオで目を覚ますことはなくなりました。
もっと早く言えばよかったのかもしれません。ただ、夜中に突然訪ねるのは怖かったし、どの家から聞こえているのかも確信がありませんでした。
相手にも事情があり、こちらにも眠れない事情がある。朝になって実際の音を確認できたからこそ、感情的にならずに話せたのだと思います。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














