「私だけ断るのも悪いと思ってた」親に別々にお金を頼まれていた姉妹。だが、照らし合わせてわかった事実
姉の口から聞いた、親の頼み方
姉から久しぶりに電話が来たのは、日曜の夕方でした。近況を少し話したあと、姉がふいに声を落としました。
「ねえ、ちょっと聞いていい?」
「どうしたの?」
「この前、実家から電話なかった?」
その聞き方で、私はなんとなく察しました。
「…お金のこと?」
「やっぱり、そっちにも来てたんだ」
姉が小さくため息をつきました。
親は以前から、姉と私にそれぞれお金を頼むことがありました。金額は大きくありませんが、頼み方はいつもよく似ていました。
「2万円でいいの。今月だけだから」
その月、私のところにも別の日に電話が来ていました。
「私にはね、『お姉ちゃんも出してくれてるから』って二度言ったの」
すると姉が少し驚いた声を出しました。
「え?私には『妹にも頼んでるから』って言ってたよ」
「……じゃあ、お互いに相手も出してるって聞かされてたの?」
「そうみたい。私、あんたも出してるなら、自分だけ断るのもなって思ってた」
「私もだよ。お姉ちゃんが出してるのに、私だけ嫌って言うのは悪い気がしてた」
少し間があいて、姉が苦笑しました。
「なんだ。二人とも同じこと考えてたんだね」
「もっと早く話せばよかったね」
親を責めたいわけではありません。ただ、どちらがどれだけ出しているのか分からないまま、お互いが気まずさだけを抱えていたことに、そのとき初めて気づきました。
二人で持った、同じ紙
その週末、私は姉の家へ行きました。テーブルにノートを広げ、これまで覚えている範囲で、親に渡した日と金額を書き出していきました。
しばらくして、姉がペンを置きました。
「これからどうするかだけ決めよう」
二人で話し合い、今後は毎月決めた額を一つの口座に入れて、親に渡す必要があるときは、その中から出すことにしました。
出した日付と金額もノートに記録します。同じ内容をコピーして、姉と私が一枚ずつ持つことにしました。
「これなら、あとで『そっちが出してると思ってた』ってならないね」
「うん。私も一人で返事しなくて済む」
それだけで、少し肩の力が抜けました。
月末、親から私に電話が来ました。
「悪いんだけど、今月もちょっとだけ都合してもらえない?」
以前なら、そのまま金額を聞いていたと思います。でも、その日は一度息をついてから答えました。
「お姉ちゃんと話したんだけど、これからは二人で積み立てた分から出すことにしたよ」
「え?なんでそんなことするの」
親の声が少し強くなりました。
「責めたいわけじゃないよ。ただ、お互いに誰がいくら出してるのか分からないままだったから」
「そんな大げさにしなくてもいいでしょう」
「うん。でも私たちは、このほうが楽なの。残っていればそこから出すし、足りなければ待ってもらう。これからはそうさせて」
電話の向こうが静かになりました。
しばらくして、親が言いました。
「……じゃあ、お姉ちゃんにも聞いてみるわ」
「聞いても大丈夫だよ。同じ紙を見ながら話してるから、返事は同じだと思う」
また少し間があって、親は「分かった」とだけ言って電話を切りました。
翌日、姉に連絡しました。
「昨日、実家から電話あった?」
「ううん。来てないよ」
「そっか」
短いやり取りでしたが、今までとは少し違う感じがしました。
その後、姉と予定を合わせて実家へ寄ったときも、親からお金の話は出ませんでした。お茶を飲みながら近所の話をして、帰り際にはいつものように玄関まで見送りに来ました。
実家を出て少し歩いたところで、姉が私を見ました。
「今月、結局あそこから一円も出してないね」
「うん。必要なかったなら、それでいいんじゃない?」
姉も「そうだね」と笑いました。
親との関係を切りたいわけではありません。ただ、姉妹のどちらかが気まずさからお金を出す関係には戻りたくない。二人で同じ情報を持ち、一緒に判断できるようになったことが、私たちにとって一番大きな変化でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














