「毎月こっちに送ってくれてるお金、無理してないか?」義父の一言で知った夫の十数年の送金。だが、義父が食卓に置いた通帳
夕食のあと、義父に聞かれたこと
40代に入った年の秋、夫と二人で義実家を訪ねました。
夕食後、義母が台所で片づけをしていると、義父が湯のみを置いて私に聞きました。
「毎月こっちに送ってくれてるお金、無理してないか?」
何のことか分からず、私は夫を見ました。
「…毎月って、何の話ですか?」
義父の表情が変わりました。
「え?聞いてないのか?」
結婚して十数年、家計は私が見ていました。ただ、私のパート代については「将来のために貯めておく」と言う夫に管理を任せていました。
ひと月ほど前、義母から電話で「いつも助かってるわ」と言われたことも思い出します。そのときは何のことか分かりませんでした。
「ねえ。どういうこと?」
夫はしばらく黙ったあと、ようやく口を開きました。
「母さんから、家計が厳しいって相談されて…それで、君のパート代を送ってた」
「私に黙って?」
「…うん」
「いつから?」
夫は目を伏せました。
「結婚して、しばらくしてから」
胸が詰まりました。
「それ、十年以上じゃない」
「最初に言えなくて、そのままになった。本当にごめん」
台所の水音が止まり、義母もこちらへ戻ってきました。
義父が奥から持ってきた1冊
義父は夫をじっと見ていました。
「俺は、お前たち二人で決めて送ってるんだと思ってたぞ」
夫は何も言えません。
すると義父は立ち上がり、「ちょっと待ってろ」と奥の部屋へ行きました。
戻ってきた手には、1冊の通帳がありました。
「これ、見てみろ」
義父名義の通帳には、十数年にわたって入金が続いていました。
「送ってきた分は、使わずにこっちへ移してたんだ」
私は思わず義父を見ました。
「ずっと、ですか?」
「ああ。俺は受け取り続けるのがどうしても気になってな。二人が納得して送ってるなら口を出すことでもないと思ってた。でも、いつか返せるように残してた」
義母が小さな声で言いました。
「あなたも知ってるものだと思ってたの。ごめんなさい」
すぐには返事ができませんでした。
義父は通帳に手を置き、私たち二人を見ました。
「これは二人に返す。最初から、そのつもりで残してたんだ」
夫が私のほうを向きました。
「本当にごめん。勝手に決めていいことじゃなかった」
腹は立ちました。でも、それ以上に、十数年間自分だけ知らなかったことが悲しかったのを覚えています。
帰りの車で決めたこと
帰りの車では、しばらく二人とも黙っていました。
やがて夫が言いました。
「もう、お金のことを一人で決めるのはやめる」
私は少し間を置いて答えました。
「うん。貯金も送金も、これからは二人で確認しよう」
「そうする」
義父が残していたお金についても、その後あらためて家族で話し合いました。
今では月末になると、夫婦で口座の入出金を確認しています。
家族だから任せていいことと、家族だからこそ話して決めなければならないことは違う。あの食卓に置かれた1冊を見るたび、そのことを思い出します。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














