「こんな対応なら、本部に電話するぞ」開封したケースが合わない男性客。だが、店長が対応した結果
混み合う土曜の夕方に、肩をたたかれた
当時の私は、家電を扱う店で携帯電話まわりの売り場を受け持っていた。土曜の夕方は一週間でも特に混む時間で、レジにも棚の前にも多くのお客様がいた。
値札を付け替えていた私の肩を、60代くらいの男性が後ろから強くたたいた。
「ちょっと、これ見てよ。さっき聞いた話と違うんだけど」
男性が差し出したのは、包装を開けたケースと、使い込まれた携帯電話だった。
「どうされましたか?」
「これ、合わないんだよ。カメラのところもずれてるし。さっき店員に聞いて選んだのに」
男性の話では、先ほど別の店員にも商品の場所を尋ねたという。
その店員はすでに別の接客に入っていたため、私はまず商品を確認することにした。
「すみません。一度、ケースの対応機種を確認させていただいてもいいですか?」
すると男性は眉を寄せた。
「確認って、こっちはもう開けちゃってるんだよ。使えると思ったから開けたんだ」
「はい。ですので、まずどの機種用の商品なのかを」
「こんな対応なら、本部に電話するぞ」
かなり腹を立てている様子で、私が説明しようとしても途中で言葉を重ねられてしまう。
箱の裏にある対応機種の欄を確認すると、男性が持っている携帯電話とは1世代違う型の名前が書かれていた。
「お客様、こちらのケースなんですが、今お使いの機種とは型が一つ違うようです」
「そんなはずないだろ。さっきもこの機種を見せて聞いたんだぞ」
男性は携帯電話を持ち上げ、ケースと見比べた。
「でも現に合ってないじゃないか。じゃあ、さっきの案内は何だったんだよ」
「申し訳ありません。先ほどどのようなやり取りがあったのか、私では分からないのですが、このケースが別の型用なのは確認できます」
「だからさ、そんな言い方するなら本部に電話するぞ!」
二度目の言葉を聞き、私は店長を呼んだ。
並べてみると、違いはすぐに分かった
店長は私の横まで来ると、男性に軽く頭を下げた。
「お待たせしてすみません。携帯とケース、少し見せていただいてもよろしいですか?」
「見れば分かるだろ。これ、合わないんだよ」
「はい。どこが違うのか、一緒に確認しますね」
店長は台の上に携帯電話を置き、その横にケースを同じ向きに並べた。
並べてみると、携帯電話のカメラ部分とケースの穴の位置が合っていないことがはっきり分かった。
男性も黙ってそこを見つめた。
店長は箱の対応機種を指で示した。
「こちらは一つ前の型用ですね。今お使いの機種に合うケースは、別の棚にございます」
「だから、さっき店員が言ってたんだよ」
先ほどまでの勢いが少し弱くなった。
「店員の対応に関しては申し訳ありません。見た目がかなり似ていますから、分かりにくいですよね。対応しているものをご案内します」
男性は少し黙ったあと、ケースを手に取った。
「…じゃあ、それ見せて」
「はい。こちらです。このケースのことも含めて、このまま私が対応しますね」
店長は男性を連れて、対応するケースが並ぶ棚へ向かった。
私はその場を離れ、途中になっていた売り場の作業へ戻った。
言葉だけで「型が違います」と説明していたときには納得してもらえなかったが、実物を横に並べると違いはすぐに伝わった。
強い口調で言われると、こちらも何とか説明しようと言葉を重ねてしまう。けれど、目で分かる形にして一緒に確認するほうが伝わることもあるのだと感じた出来事だった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














