「子どもが遊んでたら、そういうこともあるよ」娘の友達が時計を割ったのに謝らない母親。練習後、女の子が母親にかけた言葉
娘の友達が割ってしまった時計
上の娘が小学生のころ、バスケットボールクラブに通っていました。
同じクラブには娘と大の仲よしの女の子がいて、練習が休みの日にはお互いの家を行き来していました。
ある日、その女の子がわが家に遊びに来たときのことです。
ふたりは玄関で小さめのボールを軽く投げ合っていたのですが、女の子が投げたボールが壁掛け時計に当たってしまいました。
時計は床に落ち、ガラスが割れてしまったのです。
「ごめんなさい。私が投げたの」
女の子はすぐに私のところへ来て、頭を下げました。両手をぎゅっと握り、落ち着かない様子です。
「けががなくてよかった。ガラスが危ないから、ふたりとも触らないでね」
私が破片を片づけているあいだ、女の子は玄関の隅でじっと待っていました。
帰り際には、こんなことも言ってくれました。
「帰ったら、ママにもちゃんと話すね」
自分から謝ってくれたので、私もそれ以上は何も言いませんでした。
ただ、その晩、女の子の母親から連絡はありませんでした。
母親の言葉に戸惑っていると…
次のバスケットボールの練習の日。夕方、体育館へ迎えに行くと、入り口には何人かの保護者が集まっていました。
その中に女の子の母親がいたので、私は声をかけました。
「この前、うちで時計が割れたこと、聞いてる?」
「ああ、聞いたよ。ふたりで遊んでたんでしょ?」
「そう。けがはなかったからよかったんだけど…」
「じゃあ、よかったじゃない。子どもが遊んでたら、そういうこともあるよ」
母親は笑いながらそう答えました。
時計を割ってしまったことへの謝罪がなかったので、私は少し戸惑いました。
すると、母親はさらに続けました。
「でもさ、玄関でボールが当たるようなところに時計を掛けてたら、危ないんじゃない?」
まさか時計の置き場所を指摘されるとは思わず、私は返事に困ってしまいました。
近くにいた保護者もちらりとこちらを見ていて、これ以上話を続けるのも気まずく感じていました。
ちょうどそのとき、練習を終えた女の子が体育館から出てきました。
私に気づくと、母親のそばに駆け寄り、服のすそを引っ張りました。
「ママ、ちゃんと謝ってくれた?」
「え?何が?」
「時計のこと。ママからも謝ってって、お願いしたよね」
母親は一瞬黙り、私のほうを見ました。
女の子の声が聞こえたのか、近くで待っていた保護者も何人かこちらを見ています。
「……この前は、すみませんでした」
母親は小さな声でそう言い、頭を下げました。
「いえ。けががなくてよかったです」
私がそう返すと、母親は女の子の手を引いて帰っていきました。
その後も、女の子は変わらず娘と遊びに来ています。
「この前は、お母さんにちゃんと話してくれてありがとうね」
私がそう声をかけると、女の子はうれしそうにうなずきました。
玄関の新しい時計の下で、娘と並んで靴をそろえる女の子。その姿を見ると、自分のしたことをきちんと伝えようとした、あの日の言葉を思い出します。
母親とは今もあいさつを交わす程度ですが、娘たちの仲のよさは変わっていません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














