tend Editorial Team

2026.07.28(Tue)

「バッグも髪型も、全部参考にしてるの」児童館で親しくなったママ友。だが、玄関先で行動を見られていたと知り、言葉を失った

「バッグも髪型も、全部参考にしてるの」児童館で親しくなったママ友。だが、玄関先で行動を見られていたと知り、言葉を失った

「参考にしてるの」という言葉

下の子が生まれて間もない頃、児童館で親しくなったママ友がいた。

物腰がやわらかく、話していて楽な相手だった。だからしばらく、私は何も疑わなかった。

変化は、ゆっくりと現れた。私が気に入って買ったバッグと、そっくりのものを彼女が提げている。

私が美容院で髪を切れば、次に会うときには彼女も似た髪型になっている。

偶然にしては、重なりすぎていた。

子どもの習い事の話をした数週間後には、彼女の子も同じ教室に通い始めていた。

私が家族で出かけた店に、彼女が数日後に足を運んでいたこともある。まるで、私の生活をそっくりなぞっているようだった。

ある日、雑談のついでに、私はやんわり触れてみた。

「最近、いろいろ似てきましたね」

彼女は、うれしそうに顔をほころばせた。

「バッグも髪型も、全部参考にしてるの」

悪気はまるでない。

褒められているのだと、自分に言い聞かせた。それでも、胸の奥に小さな引っかかりが残った。

見られていた、という事実

しばらくして、私はひそかに働き口を探し始めた。家庭の事情は、まだ誰にも話していなかった。

それなのに彼女は、送迎の列で私の隣に並ぶと、さらりと口にした。

「そろそろ、お仕事始めるのね」

言葉を失った。何も言っていないのに、なぜ。動けずにいる私に、彼女はにっこりと続けた。

「きちんとした服で出かける日が増えたし、車の中で求人を見ていたでしょう。玄関の前を通るとき、いつも見えるの」と。

背筋が冷たくなった。玄関先での身支度も、駐車場での私も、彼女の視界にずっと収まっていたのだ。その屈託のない笑顔が、そのときだけは、うまく笑い返せないほど怖かった。

私は声を荒らげたりしなかった。

ただ、生活のリズムをそっと変えた。

送り迎えの時刻を前後にずらし、彼女と会わずに済む動線を選んだ。

玄関の前で立ち止まる時間も短くした。顔を合わせる機会が減ると、彼女はいつしか私の名前を口にしなくなった。

時間をずらしただけで、あれほど続いた偶然は、嘘のように途絶えた。似たバッグも、似た髪型も、もう追いかけてはこなくなった。

後になって、彼女が別の人を熱心に見るようになったと耳にした。

結局、彼女にとっての「参考」は、誰でもよかったのかもしれない。私という相手に、特別な意味などなかったのだと思うと、かえって肩の力が抜けた。

距離を取っただけで、あんなに張りつめていた毎日が、嘘のようにほどけた。心を守るのに、争う必要なんてなかったのだと思う。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.08.18(Tue)

「すみません。ちょっと寝不足で」疲れて思わぬ質問をしてしまった私。だが、客の一言に救われた瞬間
tend Editorial Team

NEW 2026.08.18(Tue)

「4444円かあ。なんだか縁起が悪いわねえ」会計の数字に不満を漏らした客。だが、従業員の一言で空気が一変
tend Editorial Team

NEW 2026.08.18(Tue)

「ここ座りたい!」混雑したバスで動き回る子ども。だが、見かねた乗客が声をかけた結果
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.04.22(Wed)

大谷翔平の二刀流登録に、元レッズGMが「不公平」と批判→「不公平では無いよ」「他のチームもやればいいじゃん」とネットで物...
tend Editorial Team

2026.05.26(Tue)

連合組合員アンケートで中道改革連合が支持率4位に低迷!現実的な政策実現力を求める働く人々の冷徹な選択と組織の地殻変動
tend Editorial Team

2026.03.16(Mon)

「えっ…今、おまえって言った?」→「え、うん?」馴れ馴れしい同期の耳を疑う言葉。だが、私の正論で態度が一変
tend Editorial Team