「実家からお金送ってもらってるって、本当?」眠っている間に財布を触られた私。返ってこなかった20万円と別れ
返してくれたお金を、私は信じていた
当時、一緒に暮らしていた恋人は、深夜から明け方まで机に向かっていた。画面には数字が並び、眠る前に見ても、朝起きても、同じ椅子に座っていることがあった。
「大丈夫。もうすぐ戻せるから」
「それ、前にも聞いたよ。いつなの?」
「今週には何とかする。遅くても来週」
彼は働かず、取引だけで暮らしていけると言っていた。ただ、手元のお金が足りなくなると、私に頼ってきた。
最初は五万円、その次は十万円。返してもらったあとに、また貸すこともあった。そんなやり取りを繰り返し、最終的に返ってこない金額は二十万円になっていた。
途中で、封筒に入った現金を返されたこともある。
「ほら。ちゃんと返せたでしょ」
そう言って笑う彼を見て、私は安心してしまった。
だから次に「少しだけ足りない」と言われたときも、また貸した。
そんなある日、共通の知り合いから、彼が実家から何度もお金を送ってもらっているらしいと聞いた。
それまで、彼は自分の取引でお金を作っているのだと思っていた。だから、返してもらった現金のことまで急に気になった。
その夜、私は机に向かう彼に聞いた。
「実家からお金送ってもらってるって、本当?」
彼は画面を見たまま答えた。
「……たまにだよ」
「たまにって、どのくらい?」
「そんなにしょっちゅうじゃないって」
「じゃあ、私に返してたお金は?あれも実家から送ってもらったお金だったの?」
そこで彼の手が止まった。
「ねえ、答えてよ」
しばらく待っても、返事はなかった。
あの封筒に入っていたお金が、本当はどこから出たものだったのか。私は初めて疑うようになった。
朝、財布の中身が減っていた
それでも、その場ですぐ別れることはできなかった。
夜中に水を飲みに起きれば、彼は相変わらず机の前にいた。
「まだやってるの?」
「あとちょっと。これ終わったら寝る」
「昨日も同じこと言ってたよ」
「分かってるって」
そんな会話も、いつの間にか日常になっていた。
最初に異変に気づいたのは、ある朝だった。
出かける前に財布を開くと、入れていたはずの現金が減っていた。
前日にいくら入っていたかは覚えていた。使った記憶もない。
「ねえ、私の財布触った?」
彼は少し間を置いてから答えた。
「…ちょっと借りた」
「借りたって、私に何も言ってないよね」
「あとで戻そうと思ってた」
思わず声が大きくなった。
「戻せばいいって話じゃないよ。寝てる間に勝手に取ったんでしょ?」
彼は黙ったままだった。
私はそれから、財布をできるだけ自分のそばに置くようにした。それでも一か月もしないうちに、また朝になって現金が減っていることに気づいた。
「……また取ったの?」
彼はしばらく黙っていた。
「今日は取れそうだったんだよ」
「だからって、私のお金を勝手に使っていいわけないよね」
「あとで戻せばいいと思った」
その言葉を聞いたとき、これからも同じことが続くのだと思った。
二度とも、私は朝になるまで財布を触られたことに気づかなかった。
別れたのは、そのすぐあとだった。
貸したままになっていた二十万円も、財布から抜かれた現金も、結局戻ってこなかった。
今はもう連絡を取っていないし、こちらから取ろうとも思わない。
ただ、ときどき夜中に目が覚めると、机の前で椅子が軋んでいた音を思い出す。すぐ近くにいた相手を、私はどこまで信じていたのだろうと思う。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














