「母さんに預けといたんだ」義兄が私たちに贈った結婚祝い。だが、正月の親戚の席で明らかになった最悪の事実
会うたびに増えていく、とげ
結婚が決まったころ、今の夫と義実家へあいさつに行きました。
昼間の居間で座卓をはさんでいると、義母が薄く笑いながら言いました。
「お祝いもね、お兄ちゃんの時みたいにはいかないかもしれないわよ」
「あ、いえ。そんな、お気づかいなく」
義母自身からのお祝いの話だと思い、そう答えるしかありませんでした。
隣の夫も気まずそうに視線を落としています。
義母は女手ひとつで息子二人を育ててきました。
なかなか身を固めなかった次男が、私との結婚をすぐに決めたことが面白くないのかもしれません。
少なくとも、私にはそう感じられました。
お金が欲しかったわけではありません。
ただ、結婚を喜んでもらえると思っていたので、最初から兄の結婚と比べられたことが悲しかったのです。
その後も、義実家へ行くたびに似たようなことがありました。
あるとき、手土産を差し出すと、義母は包みをちらりと見ただけで座卓の端へ押しやりました。
「上のお嫁さんは、いつももっと気のきいた物を選んでくれたわね」
「そうですか……すみません」
何を持っていけばよかったのか、分からなくなりました。
夫はいつも困った顔をするばかり。帰宅してからは謝ってくれるのですが、私はそのたびに思っていました。
どうして、お義母さんの前では何も言ってくれないんだろう。
義母の言葉もつらかったのですが、夫が黙っていることにも、少しずつ寂しさが募っていました。
正月の席で分かった、お祝いの行方
正月、義実家に親戚が集まりました。料理が並ぶ座卓を囲んで話していたとき、向かいに座っていた義兄が、私たちに何気なく尋ねました。
「そういえば、お祝い、ちゃんと届いた?」
私が戸惑っていると、義兄は続けました。
「母さんに預けといたんだ。ちゃんと渡してくれたかなと思って」
夫が箸を止めました。
「え?兄さんから? いや、何ももらってないけど…」
「えっ、そうなの?」
義兄が驚いて義母を見ると、義母は湯のみを口元へ運びかけたまま、動かなくなっていました。
それまでにぎやかだった座卓に、気まずい沈黙が広がります。
「そ、そのうち渡すつもりだったのよ」
義母は慌てたように答えました。
そこで初めて分かったのです。義兄は私たちへの結婚祝いを義母に預けていたのに、私たちには届いていなかったのです。
夫は義母のほうへ向き直りました。
「母さん、それは兄さんが俺たちにくれたお祝いだろ。なんで渡してくれなかったの?」
義母は何か言いかけたものの、目をそらすだけでした。
私は驚いて夫を見ました。これまで義母に何を言われても黙っていた夫が、初めてその場ではっきりと意見を言ってくれたのです。
義兄も私のほうへ向き直り、深く頭を下げました。
「ごめんね。もう渡ってると思ってた。次からは直接渡すよ」
帰りの車の中、夫はしばらく黙っていました。
そして、前を向いたまま静かに言いました。
「今まで、ごめん。これからは俺がちゃんと言うから」
その言葉を聞いて、私はようやく少しだけ気持ちが軽くなりました。
それから私たちは、義実家と距離を置くようになりました。義母から呼び出されても、夫が断ってくれます。
結婚祝いが渡されていなかったことには驚きました。でも、私にとってそれ以上に大きかったのは、夫が初めて義母に向き合ってくれたことでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














