「もう少し寄って」2人きりの会議室で上司に言われた女性。だが、同期に相談した結果
資料を見るたび、すぐ隣まで椅子を寄せてきた
資料の説明をするとき、その上司はいつも私のすぐ隣に座った。
長机にはほかにも椅子が空いているのに、わざわざ近い席を選ぶ。
「もうちょっと、こっち向けて」
「画面、そちらに回しますね」
「いいよ、俺が寄るから」
そう言って、椅子ごとこちらへ寄ってくる。
肘が触れそうなところまで近づき、その距離のまま説明を続ける。
近くないですか、と言えばよかったのかもしれない。
けれど私はまだ教えてもらうことが多く、強く言ったら仕事がやりづらくなるのではないかという不安があった。
そのため、私は自分の椅子を少しずつ動かして距離を取るだけだった。
2人だけの会議室でも、離れた分だけ近づいてきた
ある日、資料の確認のために2人だけで会議室へ入った。
私がパソコンを開くと、上司は椅子に座らず、後ろから肩越しに画面をのぞき込んできた。
「この行、どこから持ってきたの」
「前期の集計です」
答えながら、私は椅子を少し後ろへ引いた。
すると上司は、その分だけ前へ出てくる。
もう一度椅子を動かすと、また距離を詰められた。
「もう少し寄って。そこだと見えないから」
画面なら向きを変えれば見えるはずなのに、そう言われると何も返せなかった。
そのとき、ドアをノックする音がした。
先ほどこの部屋を使っていた別部署の社員が、置き忘れた書類を取りに戻ってきたのだ。
「すみません。これだけ取ります」
上司はすっと体を起こし、私から離れた。
社員がいる数十秒だけ、部屋の空気が急に普通に戻ったように感じた。
けれど社員が出ていくと、上司はまた私の画面のそばまで近づいてきた。
それから、2人きりになる状況を避けるようになった
打ち合わせが終わったあと、私は給湯室で同期に話した。
「さっき、2人だけの会議室で『もう少し寄って』って言われた」
同期は少し驚いた顔をした。
「それ、誰かに相談したほうがいいんじゃない?」
「でも、仕事は普通に教えてもらってるし…何て言えばいいのか分からなくて」
結局、その場では相談すると決められなかった。
ただ、何もしないまま同じ状況になるのも嫌だった。
それから私は、確認してもらいたい資料を事前に共有フォルダへ入れるようにした。
ひとつの画面を2人でのぞき込む必要を、できるだけなくしたかった。
1対1になりそうな打ち合わせでは、同期に「一緒に確認してほしいところがある」と頼んで同席してもらうことも増えた。
会議室では、なるべく出入口に近い席を選ぶようになった。
「最近、そこに座るね」
「はい。出入りしやすいので」
そう答えながら、私は無意識にドアの位置を確かめていた。
はっきり拒めたわけでも、誰かに正式に相談できたわけでもない。それでも、2人きりになる状況を減らすだけで、以前より少し気持ちは楽になった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














