「急いでるのよ」スーパーのレジで堂々と横入りした女性客。会計を急かす姿を見た若い店員が、静かに告げた一言
長い列の先頭で、横から置かれたかご
夕方、近所のスーパーで夕飯の買い物をしていたときのことです。
店内は仕事帰りの人で混み、レジには長い列ができていました。
私は総菜や牛乳の入ったかごを持って並び、ようやく先頭に。
前のお客さんが会計を終えて離れたので、「次は自分の番だ」とかごを持ち直しました。
ところが、その瞬間です。
横から来た女性が私の前に入り、レジ台に自分のかごを置いたのです。
あまりに突然で、思わず相手の顔を見てしまいました。
「あの、すみません。私が先に並んでいたんですが…」
女性はちらっと振り返り、短く言いました。
「急いでるのよ」
「でも、みんな並んで…」
言い終わらないうちに、女性は店員のほうへ向き直りました。
「袋はいらないから、早く打って」
女性は台の上のかごを指先でとんとんとたたき、会計を促します。
私の後ろにはまだ何人も並んでいました。ほかの客たちもそのやり取りに気づき、こちらを見ています。
私だって夕飯の買い物を済ませて帰りたいのに。そう思っても、その場で言い合う勇気は出ません。
私はかごの持ち手を握ったまま、立ち尽くしていました。
私を抜かした女性客に、店員が伝えた一言
レジの内側にいた若い女性店員が、割り込んだ女性のかごに手を伸ばしかけました。
私はこのまま会計が始まるのかと身構えましたが、店員は手を止め、私のほうを見ました。
「恐れ入ります、お並びの順にお伺いしております」
それから女性に向き直って、はっきり伝えました。
「こちらのお客様が先でございます」
「えっ。でも、私、急いでて…」
女性は言いかけたものの、後ろの列に目をやると口をつぐみました。顔を赤くしながら、自分のかごを台から下ろします。
店員は私のかごを台にのせ、落ち着いた声で言いました。
「お待たせいたしました」
「あ、ありがとうございます」
女性はかごを持ったままレジの横へ移り、黙って立っていました。少し前まで私に「待てるでしょ」と言っていた人が、今度は自分の会計を始めてもらえずにいるのです。
会計を済ませた私が軽く会釈すると、店員も会釈を返してくれました。
「ありがとうございました」
袋に商品を詰め終えて振り返ると、女性はまだレジの横にいました。
店員がいつもどおりの口調ではっきり順番を伝えてくれたことに、私はほっとしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














