
特殊詐欺の被害額が過去最悪を更新。その巧妙な手口と私たちが持つべき防衛意識とは
警察庁の発表によりますと、2025年の特殊詐欺被害額は暫定値で3241億円に達し、過去最悪の状況となっています。なかでも急増しているのが、ニセ警察詐欺やSNS型投資、ロマンス詐欺です。今回、実際に1577万円もの被害に遭った50代のIT会社経営者、高木圭一さん(仮名)の事例を通して、現代の詐欺がいかに生活の隙間に忍び寄るかを探ります。
高木さんは2025年9月、マッチングアプリでヨガ講師を名乗る45歳の女性と知り合いました。当初は結婚を前提とした真剣なやり取りが続き、2ヶ月間で印刷すればA4用紙260ページにも及ぶ膨大なメッセージを交わしたといいます。しかし、親密な関係を築いたところで提示されたのが、東南アジアのサイトへの投資話でした。ITに精通した高木さんの目から見ても、紹介された運用サイトは精巧に作られており、本物だと信じ込んでしまったのです。
投資が進むにつれ、女性は資金不足を相談する高木さんに対し、自ら150万円を貸し付ける演出まで行いました。しかし、これらすべては偽造された数字上のやり取りに過ぎませんでした。最終的に旅行の約束をドタキャンされ、送られてきた新幹線の写真の矛盾から詐欺を確信したときには、手元の資金だけでなく多額の借金まで背負う結果となっていました。
SNS上では、このあまりに過酷な現実に多くの声が寄せられています。
『IT会社経営者という肩書なら判断力がしっかりしていそうだが、恋愛感情が絡むと別なのか』
『新幹線の車体の違いで気づく観察眼があるのに、それまでの矛盾に気づかないのがコントのよう』
『金の話が出たらすぐに関係を切れという先人の教えは今も生きている』
『周りに相談すれば平常心で看破できるが、当事者は正気を失っている状態なのが怖い』
高木さんは現在、借金返済のために早朝から警備員として働き、その後に自社へ出勤する二重生活を送っています。ITの専門知識や経営経験がある人物ですら、孤独や愛情、そして信頼を逆手に取られれば、冷静な判断力を失ってしまう恐れがあります。
私たちは、顔の見えない相手からの投資勧誘には一切応じないという鉄則を再確認すべきでしょう。
また、少しでも違和感を覚えたら、第三者や専門機関に相談する勇気が、自分自身と大切な家族の生活を守る唯一の盾となります。














