「新人は、朝の掃除に参加しろ!」会議室で怒鳴られた新人。だが、中堅社員が吹き込んだ陰口に絶句
慣習を仕切っていた、隣の部署の中堅女性
同じフロアに、二つの部署が並んで島を作っていました。
私は総合職で採用された1年目で、出張や外勤の比重が高い配属。
同じ部署の女性の先輩から、お茶くみとトイレ掃除は免除の話がついていると伝えられていたのです。
そのフロアの空気を仕切っていたのが、隣の部署にいる中堅の女性社員でした。
在籍年数も長く、新人の動きに目を光らせるタイプ。
新人女性が朝の掃除に出ない、というだけのことが、彼女の中で許せなかったようなのです。
給湯室の前を通るたび、ちらりと向けられる視線。挨拶を返す声の温度が、日に日に下がっていく。
(私、何かしてしまっただろうか)
面と向かって何かを言われるわけではない。けれど明らかに、向こうの中で何かが積み重なっている。
新人にとって、その静かな圧は地味に効くものでした。
そして数日後、私は彼女に呼ばれて小会議室へ向かうことになります。
用件は告げられないまま、廊下の奥のドアを指差されたのです。
あることないこと吹き込まれた、定年間近の最年長社員
会議室のドアを開けると、待っていたのは中堅の女性社員ではありませんでした。
長机の向こうに座っていたのは、定年間近の最年長男性社員。
腕を組み、唇を結び、こちらを睨むようにして椅子に深く腰掛けています。
その隣に、件の中堅女性が控えるように立っていました。
神妙な表情で、けれどどこか満足げに視線を伏せている。後から考えれば、私が来る前にひとしきり、あることないこと吹き込んだ後だったのでしょう。
挨拶よりも先に、男性の口から怒声が飛んできました。
「新人は、朝の掃除に参加しろ!」
会議室の蛍光灯の下で、空気が一瞬で重くなる。
私は自分の事情を説明する余地も与えられず、頭の中だけが空回りしました。
(先輩たちから免除の話がついてるって、きちんと言うべき。でも、この空気で言えるのか)
1年目の私は、結局口を開けませんでした。
「すみませんでした」と頭を下げて、会議室を出るしかなかった。
手のひらに残った爪の跡だけが、私の中で唯一の抵抗の記録になったのです。
あれから20年以上が過ぎました。それでも記憶の底に残っているのは、怒鳴った男性の顔より、隣で控えていた中堅女性の伏し目です。
同じ女性社員に対して、なぜわざわざ年配の男性を矢面に立たせる構図を選んだのか。あの時もし問い返していたら、彼女はどんな顔で答えたのか。
答え合わせができないまま、胸の奥に小さな塊だけが残り続けているのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














