
自分の短所を必死に直そうとする努力が、実はあなたの個性を消しているかも。弱みを強みに変える逆転の発想を紹介
周りを見渡せば、自分より優れた人ばかりが目につく。そんな風に感じて、ふと足を止めてしまうことはありませんか。仕事ができる同僚や、多才な知人と自分を比べては、何もない自分にため息をつく。そんな停滞感を抱える人たちに、独立研究者の山口周氏が驚きの視点を提示しています。著書『人生の経営戦略』の中で語られるのは、強みを探すのをやめようという、一見すると突き放したような、けれど救いのある提言です。
多くの人は、市場で評価されるために資格を取ったり、流行のスキルを身につけたりしようと躍起になります。しかし、誰もが持っているものは、裏を返せば代わりがいくらでもいるということ。ビジネスの世界で重要視されるのは、その能力がどれだけ手に入りにくいかという希少性です。山口氏は、私たちが直すべきだと信じ込んでいる欠点こそが、実は他人に真似できない唯一無二の個性になり得ると説いています。
ネット上では、この考え方に多くの反応が寄せられました。
『自分の意志の弱さを劣等感で捉えるとしんどくなるけど、その弱さを俯瞰とつなげられたら他人の弱さにも気付けるようになるかもしれない』
『弱みを強みとして捉えるためには、こう思われたい自分を一度手放す事も必要』
象徴的な例として挙げられているのが、ジャズ界の帝王マイルス・デイヴィスです。彼は当時流行していた超絶技巧を駆使するスタイルが苦手でした。いわば、技術的にはライバルに劣っていた。けれど、彼はその弱さを克服しようとはせず、自分にしか出せない抑制されたクールな音を追求しました。その結果、世界で最も売れたジャズアルバムが生まれたのです。もし彼が欠点を恥じて人並みの技術を磨いていたら、あの傑作は存在しなかったでしょう。
私たちは、つい自分の得意なことを高く見積もりがちです。ある調査では、ほとんどの人が自分の運転技術や能力を平均以上だと信じているのだとか。そんなあやふやな自己評価で強みを探すよりも、自分がこれまでに長く続けてきたことに目を向ける方が、よほど確実だと山口氏は言います。
完璧な人間になろうとして、自分の角を削り、丸い石になる必要はありません。むしろ、その歪な形こそが、誰かにとっての心地よい居場所になったり、組織の隙間にピタリとはまったりする。出世や数値化できる成功だけが全てではない。
自分の歩んできた道のりを振り返り、そこにある繰り返しを見つめ直すことから、本当のキャリアが始まっていくのかもしれません。














